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【動向まとめ】大手農薬メーカー・シンジェンタの買収騒動

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昨年の12月、米大手化学メーカーであるダウ・ケミカルとデュポンが経営統合を発表し、話題となった(この話題については「大手化学メーカー、ダウとデュポンの経営統合 世界の農業にもたらす影響とは」を参照)。農薬・種子市場は「ビッグ6」と呼ばれる大手6社(ダウ・ケミカル、デュポン、モンサント、シンジェンタ、バイエル、BASF)の寡占状態が長年続いてきた。しかしこのうち2社のダウ・ケミカルとデュポンが経営統合することで、当然業界の構図は変化する。

業界再編の動きが2016年は活発になるものと見られていたが、早くもその動きが現実味を帯びてきている。それはスイスの大手農薬メーカー、シンジェンタのM&Aだ。この動きを時系列で振り返ってみる。

シンジェンタに買収を提示した米モンサント

昨年5月、シンジェンタに買収提案を持ちかけたのは米アグリビジネス最大手のモンサントだ。遺伝子組換え種子に強みを持つモンサントにとって、この提案は弱点である農薬事業の強化が狙いだった。しかしシンジェンタは自社の価値が正しく評価された買収額ではないとして、これを拒否した。その後も約5兆円規模の買収提案をモンサントは提示したものの、シンジェンタは拒否。モンサントは昨年8月、シンジェンタの買収を断念する方針を明らかにした。買収断念を発表した8月26日には、シンジェンタの株価は18%急落した。

これに不満をあらわにしたのはシンジェンタの株主たちだ。シンジェンタにとっては、売上高5割を占める新興市場の需要が落ち込んでいることから収益性が低迷しており、買収案に期待していたのだ。そんな株主たちをなだめるために、シンジェンタは昨年9月、グローバル野菜種子事業の売却と、約2400億円の自社株買いを決めた。だが昨年10月には、株主らの圧力に屈する形でマイケル・マックCEOが退任。後任にはジョン・ラムゼイCFOが就任した。

新たに名乗りを上げた中国化工集団(ChemChina)

CEOが交代した翌月の11月、シンジェンタに買収の提案を持ちかけたのが中国国営のの化学メーカー、中国化工集団(ChemChina)だ。こちらも約5兆円規模の買収案を提示したが、シンジェンタは拒否した。

そんな中、12月初旬に米ダウ・ケミカルとデュポンが経営統合を明らかにした。これを受けて中国化工集団は交渉を続けていたシンジェンタと協議。一方で、一度は買収を断念したモンサントも再び協議を持ちかけたのだ。

現在シンジェンタ取締役会は中国化工集団の提案を支持しており、身売りの可能性も出てきた。中国化工集団側は中国の春節(旧正月)の連休前に正式合意を目指しているとのことだ。実現すれば、中国企業による過去最大規模の買収となる。しかし一部の株主グループがこれに反対していることもあり、交渉が決裂する可能性もある。

この交渉がどのような結末を迎えるだろうか。また、世界の農薬市場にはどのような影響を与えるのか注目だ。

 

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