タイ オーガニックのエビ養殖
サステナブルな食品への需要の高まりが、タイのエビ養殖場への興味に拍車をかけているようだ。
タイの漁業の管轄の省庁は、病気を防ぎ汚染を減らす、環境に優しい生産システムを奨励している。これは濾過システムとしてはたらく木を植えることや、人工的なものではなく自然由来の飼料をしようすること、そして殺虫剤、殺菌剤、および抗生剤を用いない養殖を行うという意味である。
環境保全仲介業者の支援もあって、ナコーンシータマラート地域のオーガニックエビ養殖場は、今年栽培面積を10倍のおよそ100ヘクタールまで増加させた。
オーガニックの収量は非常に少ない。しかしエビ1匹の大きさはずっと大きく育つ。あるエビ養殖業者は、集約的に育てた場合20~30匹ほどのエビを育てることができるが、2~5匹ほどになったと言う。
その業者のオーガニックエビは高値で販売される。最大1キロあたり27ドルで、集約的養殖の中でも大きい養殖場の場合では1キロあたり14ドルに比べると、やはり価格は高い。加えて、インプットコストが低い。そしてオーガニックの養殖池は集約的の場合より、長いライフスパンでの養殖が可能。集約的養殖池の場合にはしばしば、病気や水質汚染に見舞われてしまうのだ。
1961年に行われた、タイの3100kmの海岸線沿いには368,000ヘクタールのマングローブ林が存在し、その種類は70にも及んだ。半世紀以上が経過し、およそ3分の1がエリアが失われ、残された面積は246,000ヘクタールになった。そのうち70,000ヘクタールは魚介類の養殖場として使われ、そのほとんどがエビ養殖だ。
アジアやラテンアメリカでも似たような林の減少が報告されている。2012年の研究結果によれば、1980年から世界中のマングローブの5分の1が消失しているという。そのほとんどが、廃棄物や抗生剤、肥料が蓄積した集約的なエビの養殖場によるものだ。
タイではおよそ10年前にエビ養殖のためのマングローブ林破壊は減少したが、政府は不毛な土地の蓄積に頭を悩ませていると、マングローブ資源保全オフィスの所長Somsak Piriyayota氏は言う。
「この今日の課題は、どのようにエビ養殖場をマングローブ林へ戻していくかということなのです。」とSomsak氏は言う。
「マングローブは人間のスーパーマーケットだ。中心となる生産者は木だ。マングローブ林の中のフードチェーンのすべてが消費者だ。人間が木を切れば、そのチェーンは終わってしまう。」とSomsak氏は話した。
※ベトナムのエビ養殖については「ベトナムのエビ養殖―その持続可能性をめぐって」をご覧ください