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スマート農業センサのSenSprout、自動環境制御の高機能ビニールハウスの開発・販売事業を開始

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以前記事で紹介した株式会社SenSproutは、株式会社果実堂と株式会社果実堂テクノロジーの協力を得て、プリンテッド・エレクトロニクスを用いた、土壌水分センサを利用した自動環境制御・耐風圧設計の高機能ビニールハウスの開発・販売事業を開始すると発表した。

農業従事者の高齢化と就農人口の減少により、各種作業の自動化を取り入れた施設のニーズが高まっている。また、日本では価格面から構造上脆弱な簡易パイプハウスが普及しているが、台風や豪雪等の自然災害の度にハウスの建替えや補修といったコストが掛かる。強度が高いとされているハウスも、耐風圧や耐積雪圧など、地域によって求められる仕様が異なることから、規格の標準化が遅れており、構造的な過不足が生じているといったことも開発の背景にある問題だとしている。

そこで今回の事業では、農業参入企業等のニーズに合った園芸施設を提供することを目的に、「低コスト」、「耐候性」、「環境制御」の特徴を有した農業用ハウス(商品名「高瀬式高機能ハウス」)の開発、販売を行うと同社は発表した。

「環境制御」の面では、国内最大のベビーリーフメーカーである果実堂の水管理ノウハウ、 および、年間6,000作以上の栽培データと、東京大学発ベンチャー企業であるSenSproutのプリンテッド・エレクトロニクスを用いた土壌水分センサを組み合わせている。現在は手作業と人の判断に頼っている灌水作業 (土壌水分量の測定から灌水量・時間の決定、灌水装置の制御)を、安価なセンサやネットワークを用いて自動化し、作業負担の軽減と収量の向上をはかることができる。さらに、温度、湿度、日射量、画像等の データを基にIoTを活用して、高度な複合環境制御を行えるように改良を進めていくことが可能であるとのこと。

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今回の高機能ビニールハウスの特徴は以下の通り。

①収量アップ・高回転
高気密により冬場の保温力を高め、回転数向上が見込める。
高い換気能力により、通常のハウスに比べて高温期のハウス内の温度を効率的に下げることができ、収量向上が図られる。

②低イニシャルコスト
ハウスの汎用部材を活用し、構造計算をかけ、適正な補強を入れることにより、今まで経験則で行っていた補強方法より構造力学の概念を用いて、理論的な鋼材の使用量の適正化が可能。

③低ランニングコスト
高気密により冬場の保温力が高いことから、暖房が殆ど不要で、暖房費(重油代)が大幅に削減することができる。

④耐風圧・耐雪圧設計
パイプハウスの構造計算を行うことで、施設園芸協会の「低コスト耐候性ハウス」の認証基準(耐風圧 50m、耐雪圧 50cm)をクリアしている。

⑤土壌水分センサによる灌水の自動制御
土壌水分センサ(SenSprout Pro.)を各圃場に1台設置し、土中の深さ 10cm、20cm、30cm の3ヶ所の土壌水分を測定し、専用アプリからデータの閲覧、栽培履歴が閲覧することが可能。このデータと予め設定した土壌水分程度による灌水の指示(自動灌水)が可能となる。

同社は、より高温多湿なアジアモンスーン気候の日本で通用する低コスト耐候性環境制御ハウスの拡充に努めてゆくとしている。

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