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アフリカの小規模自作農家に融資を。農家信用スコア作成のFarmDriveが資金を調達。

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Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.


FarmDriveという企業は、ケニアのデータアナリティクス系のスタートアップである。今回この企業は、東アフリカやアフリカ中央部で最大の通信会社であるサファリコム(Safaricom)のベンチャー投資部門のSafaricom Spark Venture Fundから資金調達を受けた。FarmDriveは、データアナリティクスを活用することで、アフリカの小規模自作農が地元の銀行から資金を得るためサポートをするスタートアップなのだ。

FarmDriveとは

FarmDriveは2014年にRita KimaniとPeris Bosireによって設立された。彼女らは二人とも小規模自作農のコミュニティーで育ち、ナイロビ大学でコンピューターサイエンスを学ぶ中で知り合った。

幼少時代から彼女らは、周りの自作農世帯が自身の農地に保護的な投資をできない状況を目の当たりにしてきた。例えば、認可の下りた安全な種や肥料を購入するなどのことは不可能であり、その代わり、収穫物から取れた種をそのまま使う非効率的な方法を余儀なくされたり、十分な収入を家庭に入れるために頻繁に副業をしたりという状況に追い込まれていた。

彼女らは、農家の生産性が低いのは、資金の不足に由来するものだと考えていた。しかし、農家と話をするうちに、本当の問題に気づくこととなった。銀行が定める融資の基準が農家に当てはまるような設計でなかったゆえに、農家は融資を受ける条件を満たすことができなかったという根本的な問題があったのだ。

銀行が誰かに融資を検討する際、銀行側はその人の返済履歴を確認したり、担保を取ろうとしたりする。しかしながら、小規模自作農はどちらも出すことができない、とFarmDriveのパートナーシップ部門代表、Mary Joseph氏はAgFunderNewsに語る。なぜかというと、彼ら農家は資産を保有できるほど裕福でない上に、農業からの収支とプライベートの出納帳を混ぜてしまう傾向にあるために、ビジネスの業務記録というものを持ち合わせていることは珍しいからだ。

FarmDriveはこの問題を、銀行向けに農家のクレジット・スコア(信用度点数)を作成することで解決している。具体的には、農家がスマートフォンやメッセンジャーアプリを通して入力する収入/支出の情報、加えて衛星位置情報や農業生産データおよびコミュニティ経済のデータを活用している。それらで構成されるデータセットを分析することによって、FarmDriveのアルゴリズムは農家のクレジット・スコアを生成することが可能なのだ。

FarmDriveは、同様に、金融機関のための意思決定ツールも開発している。そのツールを使うと、例えば収穫に応じて返済のタイミングを自由に変更したいといった小規模農家の経済的・農学的ニーズに沿った金融商品を作ることが可能となる。

これまでに、3000の農家がFarmDriveに登録しており、計13万ドルの貸付が可能となってきた。アフリカの労働力の65%が農業に従事していることを考えるとこの値は理想値には届かない低いレベルだが、銀行からは現実には1%にも満たない額しか農業セクターに流れていないのだ。FarmDriveによれば、世界では投資を必要としても賄われていない資金は4500億ドルにも及ぶという。

公的機関もサポート

アフリカの各政府が農業従事者の金融へのアクセスの必要性を認識し始めたことから、FarmDriveにとって非常によいタイミングだったと言える。9月にはケニアのウフル・ケニヤッタ大統領が2億ドルの予算を配分することを約束し、若い世代の農家や農業事業家のためになり、市場へのアクセスを助け、機械化を採用し、農業での付加価値創造および加工を改善することを目指した。ケニア商業銀行(Kenya Commercial Bank)も3億ドルを農業活動に投資するために蓄えていることを発表し、かつウフル大統領も他のアフリカの政治主導者たちに農業セクターの優先度を上げるよう促した。

2016年、ケニアは貸出金利および預金金利に制限を設ける法を成立させた。これまでケニアでは貸出の際に18%以上を課していた銀行もあったが、現在それは公定歩合に4%を加えた率、つまり10%に抑えられている。この法律は同様に、預金利率がベンチマーク金利の70%以上になるよう要求している。そうすることで貯蓄者を促す狙いだ。今まで、それは5%以下であることが多かったのだ。

FarmDriveだけが農家を救おうとするアフリカで唯一のフィンテック系スタートアップではない。myAgroという会社は、種や肥料など重要な農業初期投資を先払い方式で分割払いできる携帯端末のシステムを立ち上げた。SunCultureという会社は、元々太陽光発電で可動する灌漑設備一式を提供する会社だったが、今は農家が新しい技術を購入するためのアセットファイナンスを提供する会社になっている。

link:https://agfundernews.com/farmdrive-raises-funding-to-help-africas-smallholder-farmers-get-finance-with-credit-scoring-algorithm.html

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