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肥満と栄養失調、データから見る発展途上国が行うべき本当の栄養安全保障とは

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現在、世界人口の約9分の1が十分な食事を取ることができていない。2022年に世界最大の人口の14億人を抱えるであろうと予測されているインドでは、飢えをしのぐために十分な食料を生産している。しかし、貧困やサプライチェーンの歪み、身勝手な食料廃棄、農地の収穫量の効率の悪さなどが、多くの人々を栄養失調に追いやっている。

インドでは現在2億人弱が栄養を十分に取ることができていない。いわば、世界の栄養失調人口の4分の1がインドにいるということになる。1990年代初期から2015年までに、この人口は1500万人ほど減っているが、ここ20年で1家庭あたりの平均収入が3倍になっているという事実を考慮するといかがなものだろうか。国内穀物生産量が満足し、経済成長を遂げているにもかかわらず、実際には最低限の食事摂取量がこの期間の間で下がってしまっている。一方この期間において、中国では栄養失調人口を2億8900万人から1億3380万人まで減らすことに成功している。

適切な政策の施行や強い政治的意思で、今後グローバルな食料の安全性は上がっていくだろう。この記事では、主に食の栄養に関する安全保障にフォーカスする。

 

栄養に関する安全保障の2つの柱

肥満人口の増加

栄養の安全保障については2つの重要な側面が存在する。それは肥満と栄養失調である。世界的に肥満の人口は着実に増加している。同時に発展途上国の栄養失調人口も深刻な問題になっている。

米国疾病予防管理センターによれば、国内の成人の34.9%が肥満に当たるという。2014年には22の州で成人肥満率が30%を超えた。そして20%以下の州はひとつもなかった。また1991年には成人肥満率が20%を超えている州はなかったという。

肥満は心臓病や心臓発作、2型糖尿病を引き起こす。アメリカでは2008年の年間でかかった肥満治療の総費用は1470億円にのぼる。肥満の人の医療費は、標準的な体重の人より1429ドルも高い。

肥満は国際的に問題となっている。発展途上国の肥満人口は先進国のその人口の2倍いると言われている。糖質の多い食事や、脂質の高いもの、そして栄養価は低いがエネルギー過多な食事は運動不足同様に、アメリカ、イギリス、北欧、中東、中国、そしてオーストラリアの地域で肥満人口を3倍にもしている。

発展途上国に見られる人口の農村部から都市部への移動は、肥満を加速させる原因だ。農村部では食料的に自立しており、穀物や野菜、果物を中心とした伝統的な食事を取っているが、脂質や糖質は低い。都市部へ移動すると、職業的に運動が不足し、糖分や脂質、穀物の多い食事になる。彼らの食生活は伝統的かつ栄養価の高いものから、エネルギー過多な食生活へと変化する。1980年代以後、コミュニケーションや情報の発展は、エネルギー過多な欧米の小生活のグローバリゼーションを促進させた。

都市部での労働は農村部での労働より1日当たり1000カロリーも消費量が少なく、これは50%以上消費カロリーが減っていることになる。この消費カロリーの減少は食生活を変え、結果的に体重を増加させ、肥満へと導いたのだ。

 

栄養失調人口のデータ

栄養の安全保障について述べると、多くの発展途上国が国民の栄養失調に悩んでいる。国連によれば、7億9500万人、つまり世界人口の9分の1が十分な食事を取れていない。その栄養失調人口の約3分の2がアジアに集中している。分布率が最も高いのはサブサハラアフリカ(アフリカのうち北アフリカ以外を指す)で、栄養失調人口の4分の1を抱える。

年間310万人の5歳以下の子供が栄養失調のために命を落としている。これは子供の死亡原因の45%を占める。4人に1人の子供が発育不全、6人に1人の子供は体重が適正な体重に全く届いていない。だがインドでは10年前、42.5%の子供が飢餓状態であったが、現在は29.4%まで改善されている。

インドにも様々な変化が国内で起こっている。マハラーストラ州では、頻繁な食料供給や、妊婦のケアの改善、賃金の増加、早すぎる第一子出産年齢を遅くできたことなどで、37%いた飢餓の子供を25%まで減少させた。ただ注目すべきなのは、5分の1のインドの富裕層の中にも4分の1は発育不全の子供がいるということだ。15歳から18歳までの間の女性は50%以上は肥満指数が低い。そういった女性が栄養失調の子供を産んでしまうという悪循環が続いている。

 

本質的な原因とは

この発展途上国での問題は栄養失調や性差別、健康に対する教育環境の低さ、知識の問題のためではなく、公共衛生に要因がある。

例えば、多くの国において習慣となっている屋外排泄。これは子供たちが生活したり遊んだりするのに非常に不衛生だ。屋外排泄は虫や寄生虫だけではなく、下痢をはじめとした様々な病気を蔓延させる。こういった状態では、子供たちが十分に食料を得られたとしても、栄養を吸収できない。これが体重不足の子供と屋外排泄との関係性である。

中国は栄養失調撲滅に向けて大きく前進した。2002年から2015年のデータに基づいて2015年に発行された、中国の栄養状況と慢性的な病に関するレポートは2012年の成人栄養失調人口は6%で、3.2%減少させている。6歳から17歳までの発育不全の割合は3.2%で、3.1%減少した。消耗性疾患は9%で4.4%以上減少した。

中国では長年深刻な貧血症の問題に悩まされてきた。これも10年間で20.1%から9.7%まで減少させた。一方で、栄養失調は農村部でまだまだ深刻な問題だ。

一般的で、しかも間違っている見方は、食の安全保障の問題の唯一の原因は栄養不足であるというものである。それゆえ、政策は食の栄養安全保障にフォーカスし、主に食料基準の介入になってしまっている。これはあまり効果的ではない。

栄養失調の国民を抱える国は事実とデータに基づいた栄養の安全保障を意識すべきだ。ほとんどの発展途上国の栄養安全保障がうまくいかない理由は、誤解や性差別、腐敗、タブー、そして国のプライドだ。栄養不足が原因で若者が発育不全になっているのならば、どの国も自国の可能性を十分に発揮することはできないだろう。

 

参考:http://www.eco-business.com/opinion/the-nutritional-security-imperative/

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