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東大発ベンチャー「SenSprout」低コスト農業センサーで世界の水利用を最適化

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日本の農業では水利用にほとんど困ることはなく、その点において日本は非常に恵まれている。一方、世界の水利用のおよそ70%が農業用水として利用されているが、多くの地域で水不足問題が生じ、農業生産に影響を及ぼしている。例えば昨年は東南アジアを大干ばつが襲った。一昨年はアメリカ・カリフォルニアで同じような被害が生じている。そんな農業の水利用を最適化するソリューションを開発しているのが、「SenSprout(センスプラウト)」だ。

SenSproutは2015年1月創業で、東京大学大学院情報理工学系研究科の川原圭博准教授が技術アドバイザーとなり、農業用の土壌水分センサーを開発している東大発ベンチャー企業だ。川原氏はいわばIoT(モノのインターネット)の研究者で、センサーの応用例として考えたのが農業分野であったという。同社の資金は、昨年、クラウドファンディングを通じて世界中の138人から集めた。起業家を支援する大会で入賞した賞金15万ドルも加え、計16万9931ドルを調達した。

SenSproutが開発した農家用センサー
SenSproutが開発した農家用センサー

センサーは、長さ約50センチの棒状。土に埋める部分の3カ所に、樹脂フィルムに銅の薄膜を巻き付けた電極がついている。この電極が土の中の静電容量を測り、水分量の変化を把握することが可能となる。測定したデータは親機を経由してクラウドに保存され、スマートフォンアプリなどから確認することができる。

従来の土壌センサーは一式で数十万円するものも多く、大規模農業の場合1000万円以上の投資が必要な場合もある。またネットワーク設備を整備し、電源を引かなければならないなどといった事も普及を阻んでいた。しかし、SenSproutは独自のプリンティング技術を用いる事で、センサーの価格を1本数万円まで抑える事に成功。将来的には無線給電も検討している。

現在は国内10箇所以上で実証実験を行っている上に、インドのマハラシュトラ州のオレンジ畑で、インド工科大学と共同実験を行うなど、海外展開をスタートさせた。インドでは現在他にも現地の研究機関や農業大学と共同で実験を行っている。今後はさらに、東南アジアの森林管理など徐々に広げていく予定だ。

すでに家庭菜園用の小型センサーについては販売を開始しており、農業用センサーも近日販売開始予定だ。

SenSproutホームページ:http://sensprout.com/ja/

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