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バイエルのモンサント買収:農薬業界の今後に迫る

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※2016年9月14日にバイエルはモンサントの買収を発表した。詳しくはこちらの記事で。(2016年9月17日更新)

アグリビジネス業界に大きな変化到来か

ドイツの大手医薬・農薬メーカーのバイエルが、アメリカのモンサントに対し、買収を提案していることがわかった。これはアメリカのブルームバーグの報道によるもの。モンサントの時価総額は400億ドル近くに上るアグリビジネス企業で、特に遺伝子組換え種子に強みを持っている。モンサントは昨年からスイスの農薬メーカーであるシンジェンタに対し買収を持ちかけていたものの、失敗に終わっていた。

この買収が成立すれば、世界最大の農薬・種苗メーカーが誕生することになる。バイエルの農業部門、バイエル・クロップサイエンスは主に農薬に強みを持っている。今回の買収案を提示した目的は、バイエルの遺伝子組換え種子事業の強化が考えられる。モンサントのトウモロコシやコットンなどの遺伝子組換え種子は、バイエルのアグリビジネスを大きく拡大させることになるだろう。一方で、ドイツの大手化学製品メーカーのBASFもモンサントの買収を検討しているとの噂もあるものの、その可能性は低いとの見方が広がっている。

関連記事:モンサント買収:なぜ、バイエルとBASFが候補先に上がっていたのか?

今回のこの買収案は、化学業界のM&Aの動きを受けて引き起こされているものと見てよいだろう。

昨年12月には化学業界世界第2位のダウ・ケミカルと第8位のデュポンが、1300億ドル規模の経営統合を発表し、世界最大の化学製品メーカーが誕生した。農業関連部門は同社のビジネスの3つの柱のうちの一つであり、今後アグリビジネスに力を入れていくと考えられる。

そして今年の2月には、中国の化学製品メーカー、中国化工集団(ChemChina)が農薬世界最大手のシンジェンタを買収。中国史上最大の買収劇と話題を呼んだ。一方でシンジェンタを最初に買収しようと試みたのが、当のモンサントである。

農薬・種子市場はビッグ6(モンサント、デュポン、シンジェンタ、ダウ・ケミカル、バイエル、BASF)のうち、ダウ・ケミカルとデュポンに続き、バイエルがモンサントを買収となると、市場プレーヤーが3社ということになる。世界の農薬市場は6割以上がこの3社によってカバーされ、競争力がさらに強化される。

またバイエルは先日、農業テクノロジー(AgTech)系のスタートアップが活発なイスラエルで、AgTechスタートアップを支援するファンドを設立するなど、これまで注力してきた農薬とは異なるジャンルへ目線を向けているようだ。このM&Aを成立させることによってさらに資本力を向上させ、新たな分野への投資を活発化させていく可能性もあるのではないだろうか。

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