先端農業技術のドローン利用と、その市場規模
農業の生産性を向上させるドローンは、よりフレキシブルな「見える化」をもたらしている。そして農業用スマートドローンのカメラを使用によって、農業に数兆ドル規模の経済成長性をもたらしている。商業用スマートドローンはシームレスで安全なインターネットへ接続を可能にするのだ。
農業用ドローン技術は農業近代化の最前線に取り入れられているシステムで、もはや完成レベルに達している。多くの世界中の農家は、植物を可視化するための農業用カメラを利用するなどの形でドローンを有効活用しようとしている。現在このようなドローンの利用事例は急速に増加している。
先進的農業技術に用いられるドローン
農薬スプレーシステムや害虫駆除、圃場マッピング、播種、リモートセンシングなどといった農業技術では、データドリブンな農業の未来のためにドローンを利用する。安価なセンサーや、クラウドコンピューティング、ドローンシステムで使用されるインテリジェントなソフトウェアは、農業を変革し世界の人口増加に対して食料を供給するのに役立つ可能性を秘めている。
そして今、農業用ドローンのベンチャー投資が強まってきている。農業技術のスタートアップに対するベンチャーキャピタルからの投資は、2015年の年間での投資額4.25十億ドルは同地域の2014年の投資額の2倍になった。農業用ドローンはモノのインターネット(IoT)にレバレッジをかけている。
※IoT:Internet of Things(モノのインターネット)とは従来は主にパソコンやサーバー、プリンタ等のIT関連機器が接続されていたインターネットにそれ以外の様々な”モノ”を接続する技術。
IoTはセンサーに上空からの農地画像を提供し、そして通信が可能となり、植物の変化を把握するための分析にも使用が可能となる。デジタル化は、従来の農業のマニュアル作業に革新的変化をもたらすに違いないのだ。
だだIoTとしてドローン利用の可能性を利用するためには、技術と政策に問題がある。課題はセキュリティー、プライバシー、そして様々な基準だ。ハッカーは、一見安全に見えるリモートコントロールするエンジンや、ブレーキ、ステアリング(操舵装置)を制御しているネットワークに侵入することができる。ネットワークがハッキングされた場合、農家にとって問題が引き起こされることが懸念されているのだ。
ドローンによる自動化プロセスの恩恵とは
農業工業化はトラクターとコンバインによって進められてきた。ドローンはさらに踏み込んだ自動化プロセスをもたらす事になる。
1920年代より前、工業化以前の農業は、小さな農場で労働集約的な農業で成り立っていた。これは、1人養うために2エーカー(約0.8ヘクタール)を必要とする。1920年から2010年までの工業化された農業では、トラクターとコンバインの利用、化学肥料や種子科学が新たな農業の道を開き、1エーカーで5人養えるまでに生産性の向上を実現した。
ドローンによって始まったデジタル農業は、農業工業化の次のステップの一端を担っている。農機具や工場、衛星画像、天気の追跡といった多くのセンサーとソースからデータを活用する事も始まった。水や肥料の使用は、測定・監視され、生育は植物個体ごとに監視することが可能になった。植物工場は全世界で導入されてきているが、ドローンはこのような室内環境でも使用されると予想される。
データリッチな意思決定のアプローチは、従来の農業を切り崩す象徴となった。新しい農業の姿は、農地で砂埃を巻き上げながら、経験と勘に基づいた意思決定を行う農業のワークスタイルとは全く異なる世界になる。 農業用ドローン市場は現在4.94億ドル。しかし2022年までには36.9億ドルになることが予想されている。