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【閲覧注意】欧米で昆虫食が人気!? 意外と知られていない3つのメリット

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「昆虫食」と聞いても、我々日本人にとっては馴染みの薄いものだ。戦前・戦後の食糧難の時代にはイナゴを食べる風習が日本にもあったが、現代では昆虫を食べた経験がない人が多いであろう。とはいえ、世界を見ればアジアやアフリカ、南米地域を中心に20億人の人々が昆虫を日常的に食していると言われている。

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引用:https://www.flickr.com/

以前紹介したタイ最大の市場Talad Thai(タラート・タイ)でも食用の昆虫は当たり前のように売られており、決して貧困部のみで食されている訳ではない。昆虫食と言っても、一体どのような種類のものが世界では食されているのだろうか。世界で食されている昆虫の内訳はこんな感じだ。

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資料:FAO資料を基にAGRI in ASIAが作成

一番多いのは甲虫類。タイではカブトムシを食べる事は非常にポピュラーであり、成虫・幼虫共に食され、エビやカニに近い風味がするという。スズメバチは旨味が強く、豆腐に近い風味がするとの意見、セミはナッツに近い風味があるとの意見がある。

そんなエスニックなイメージの強い昆虫食だが、近年新たな注目を浴びているのをご存知だろうか。それも日本と同様に昆虫食に馴染みの薄い欧米から、昆虫食スタートアップ企業が現れ始めているほど、昆虫食には熱い眼差しが向けられ始めているのだ。一体何故か?

きっかけは2013年、FAO(国連食糧農業機関)が発表したレポート「Edible Insects – Future prospects for food and feed security(昆虫食–食料及び飼料の安全保障に対する将来展望)」にて、昆虫が21世紀の新たなタンパク質供給源となるポテンシャルを秘めていると発表したからだ。

FAOが昆虫食を推奨する理由

FAOがレポートの中で発表した昆虫食を推奨する理由は、大きく次の3つだ。

① 健康面

昆虫は必須アミノ酸を多く含んだ良質なタンパク質を豊富に含み、良質な脂肪分や、カルシウム、鉄、亜鉛をはじめとしたミネラルも豊富に含むことが報告されている。また昆虫は、家畜で問題となる牛海綿状脳症(BSE)や鳥インフルエンザなどの動物原性感染症に伝染するリスクが低いと言われている。

② 環境面

これはややイメージしにくいかもしれないが、昆虫食の最も大きなメリットではないだろうか。

家畜が増えるとその分メタンガスなどの温室効果ガスが増加するが、昆虫の養殖を行ってもそういった心配はない。また家畜の飼育に対して昆虫の養殖は土地生産性が高い、つまり小さい面積で済むということだ。そして家畜の飼育に対して、水と飼料の量を大幅に削減できる。FAOの報告によれば、昆虫肉1kgの生産が飼料2kgを要するのに対し、家畜牛肉を1kg生産するためには8kgもの飼料が必要なのだという。これは昆虫が変温動物であるため、エネルギー変換効率が恒温動物の家畜に対して高いからである。

③ 経済面

昆虫の養殖を行うのは比較的簡単な技術で収まるため、投資コストが小さく済むという点が報告されている。このため、先進国に限らず、発展途上国でも、昆虫養殖ビジネスを始めやすいとの理由がある。

このような理由から、昆虫食がフォーカスされているのであるが、「昆虫食が世界を救うかもしれない」とまでの声も多い。というのも、2050年までに世界人口はおよそ90億人を超えるとの予想があり、それまでに世界での食糧生産量を2倍にする必要があると言われている。一方で地球温暖化を背景とした気候変動による生産性の低下、そして途上国での中間層増加に伴い、食糧生産量2倍という数字は現在のままでは非常に厳しいとの見方が多い。昆虫食は畜産物に代わる重要なタンパク源として、世界の食糧安全保障を担う大きな可能性を持っていると言われているのである。

こうした背景を受け、海外では昆虫食スタートアップ企業が誕生しつつある。まだまだ未発達な市場でプレイヤーもそれほど多くないが、こうしたフロンティア企業が今後の世界の食をリードする可能性がある。そんな注目のスタートアップを、次回の記事で紹介する。

参考:http://www.fao.org/

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