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農薬大手バイエル、イスラエルに1千万ドル規模のAgTechファンドを設立

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イスラエルのテクノロジー系アクセラレーターであり、ベンチャーファンドのTrenlinesは先月、イスラエル国内の農業テクノロジー(AgTech)スタートアップに対し10百万ドル規模の支援を目的とした新たなファンドを、農薬系大手のバイエルと共同で設立する契約を結んだと発表した。

5年間のこの契約で、バイエルはイスラエルの企業と共に、生物農薬(バイオペスティサイド)やパッケージング技術、作物栽培技術、家畜の生育技術などの領域で協力していくと見られる。

「イスラエルはイノベーションのホットスポットであり、Trendlinesは地域のノウハウとテクノロジーのノウハウとの適切なコンビネーションを生み出しており、パートナーにならずにいられなかった。」とバイエルの作物学部門R&D代表のAdrian Percy氏は話した。また、「農業のマーケットはイノベーションの介入が成熟し、またTrendlinesは生産性が高く、持続的な農業を支援するためのコミットメントに我々と協力してくれる。」と付け加えた。

気候変動や抵抗力のある雑草や害虫、進行する砂漠化は、現在農業が直面している課題の一部に過ぎない。そしてそういった課題があるにもかかわらず、生産者たちは増大し続ける人口に対して食料を供給し続けていく事を期待されている。今回の農業イノベーションファンドを通じて、Trendlinesとバイエルは、こうした諸問題に対する最先端のソリューションを特定し、そうすることで、農業の将来像を描く支援をする事を目的としているということだ。

バイエルが興味を抱くのはどんなスタートアップなのか

バイエルが協力する企業の中に、EdenShieldがある。EdenShieldはハーブなどから製造した自然農薬開発のパイオニアのAgTechスタートアップだ。この自然農薬には砂漠に生息する植物の分泌物質をベースに製造しており、これが害虫駆除に役立つ天然の化学物質を出しているという。

「用いているハーブはイスラエルの砂漠原産のもので、我がチームは駆除すべき特定の害虫が嫌う臭いを放出していることを発見した。だからハーブをエキスにしてスプレーするか、ネットに塗ることで、害虫がその臭いに耐えられず近寄ってこない。」とEdenShieldのCEOのYaniv Kitron氏は話す。

Kitron氏は、この自然農薬が一般的な農薬よりも効果のあるものだと言う。その理由は、害虫は農薬に対しては抵抗力をつけることができるのに対して、ハーブエキスの臭いにはそれができないのだという。「害虫のDNAがもともとこの物質を嫌うようになっているため、この臭いにそもそも近づこうとしない。」とKitron氏は話す。

DouxMatokもバイエルが興味を持つスタートアップだ。DouxMatokは砂糖やその他の甘味料を製造するテクノロジーを開発した。同社が持つ繊維技術を用いて、消費者が甘みをより感じる砂糖や糖アルコールを化学的に製造し、食品や飲料に用いている。

これらは、バイエルの考える農業の将来像に当てはまるものなのだという。バイエルは、生産性向上をもたらすイノベーションで農業の未来を創造することを支援し、人口増加に対応する十分な食料や、動物への飼料、繊維などの生産を可能にすることを目指しているという。外部のパートナーと協力することで、新たな領域のイノベーションへの洞察と先端的テクノロジーのビジョンを提供する。

TrendlinesのCEOのNitza Kardish氏は、「今回バイエルと設立するファンドが、イスラエルのAgTech起業家たちの革新的アイデアに投資する素晴らしい機会を提供するだろう。」と話しているという。

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参考:http://www.timesofisrael.com/bayer-to-invest-10-million-in-israeli-ag-tech-fund/

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