中央アフリカ共和国:続く政情不安と食糧危機
続く政情不安と食糧危機
3年にも及んでいる政情不安は中央アフリカ共和国の食糧安全保障を大きく揺るがしているとWFP(世界食糧計画)とFAO(国際連合食糧農業機関)が今月1日に発表した。政情不安の影響で、食糧生産はこの3年間停滞した上、市場も通常通り機能しなくなり、主食となる穀物の価格が高騰しているとのことだ。
WFPとFAOによって行われた最新のCrop and Food Security Assessment Mission(CFSAM)によると 、 昨年の中央アフリカ共和国の作物の総生産量は2014年に比べたら10%増加したものの、内戦前の総生産量平均を54%も下回った。2015年度の総生産量は約84万トンで内戦前の平均より100万トン少なかった。
「人々がご飯を抜いたり、食べる量を減らしていることのほかに、以前より栄養価が低い食べ物を食べることを選択していることを危惧すべきである。」とFAOの中央アフリカ共和国代表 Jean-Alexandre Scaglia は記者会見で話した。
また、「中央アフリカ共和国の75%の人が農業に従事している。種まきの季節が2ヶ月後に迫った今、農業に力を入れることは国の経済と政治的安定を回復させるのに必要不可欠である。」とも話した。
WFPの中央アフリカ共和国代表 Bienvenu Djossa も会見で、「状況は非常に厳しい。人口の半分が食糧不足に直面している。彼らに手を差し伸べることをやめてはならない。WFPとFAOは共同で、種まきの季節に備え種と食糧を配給している。収穫がなくなり、食糧が不足する種まきの季節は特に援助の手を緩めてはならない。」と語った。
データで表す食糧危機
CFSAMのレポートによると中央アフリカ共和国で長引く政情不安のせいで人々は厳しい状況に立たされている。
まず、家畜の多くは殺戮、または略奪され、家畜の数は内戦前に比べ半減した。ヤギや羊の数などは57%も減少した。また、インフラ設備へのダメージや治安の悪化により漁業も大きな打撃を受け、2012年に比べると、2015年には漁獲量は40%マイナスとなった。
生産が打撃を受けていることに加え、市場が機能していないことから食料の価格は上がったきり下がる兆しを見せない。特に、抗争が激化した2015年9月には食料価格が急騰した。内戦前と比べ、貴重なプロテイン源であるピーナッツは74%、小麦粉は28%それぞれ価格が高騰した。10月には牛肉の価格が以前の2倍になり、魚の価格が以前より70%も高くなった。
この結果、市民の購買力は2012年の3分の1にまで減っている。
危機への対応
FAOやWFPは政情不安が勃発して以来、食糧危機を未然に防ごうと様々な手段を講じてきた。
2015年にFAOは約17万の家庭に種や農機具を配給し、40万トンの作物の生産に貢献した。また、家畜のワクチン接種も起こった。これらの政策により人々の収入源が確保され、食糧援助への依存が軽減された。
一方、WFPは65万の農家に食糧を配給することによって、農家が種を食用ではなく、農業のために用いることができるようサポートをした。おかげで農家は農業を継続することができ、将来も継続して食糧を供給できるようになった。加え、WFPは90万の人に給食や緊急食料援助を配給した。
FAOとWFPは他のパートナーの協力のもと、2016年にはジョイントプログラムとしてこれらの支援をさらに継続させる。FAOが種と農機具を配給し、WFPが食糧を配給することにより、FAOとWFPは今後さらに 9万5千の農家の生計をサポートするとのことである。
このジョイントプログラムの他に、FAOは155万の人のための肥料や種を確保し、家畜の健康を維持するために8600万ドルを必要としている。WFPも7月までには中央アフリカ共和国内外に逃亡し、食糧を緊急に必要としている140万 の人に食糧を配給するために8900万ドルを必要としている。
現在、その約半分のファンデイングが確保されている。
参考:http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=53343#.Vt2Mf7TZnQV