ロシア、中国との農業での経済協力に期待
ロシアは、ヨーロッパとの関係が悪化する一方で、アジアとの結びつきを強化中だ。プーチン大統領は、アジア諸国との関係構築で極東の発展を優先すると強調してきた。
ハバロフスクやサハリンなどを含む極東連邦管区は、人口約630万人で、アメリカの3分の2ほどもある広大な土地だ。プーチン大統領は極東ロシアでの減税を求め、投資状況を改善してきた。極東開発省も2012年に設立された。
日本も8項目の経済協力プランを提示しているが、ロシアが経済協力を求めているのは日本だけではない。日本以外にロシアが大きく期待しているのが中国だ。中国は極東ロシアの農業に投資する企業を後押ししている。極東の開発を進めたいロシアと巨大な人口を抱える中国の双方にとって、経済協力の中でも農業に関する期待が大きい。
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なぜ中国は極東ロシアの農業に目を向けるのか
中国は極東ロシアの農業に投資する企業を後押ししている。中国の農林水産省にあたる農業部の韓長賦部長は、今年3月、中国議会の年次総会に合わせた記者会見で「ロシアに隣接する黒竜江省出身の企業の投資は、かなりのリターンを生み出してきた」と述べた。中国の企業は少なくとも60万ヘクタールの極東の土地をリースし、管理している。
ご存知のように、中国の人口は世界で最も多く、世界人口の約5分の1にあたる。この国民すべての食料需要を満たすために、中国にとって極東ロシアの農業に関するプロジェクトは重要だ。
富裕層の増加で肉の消費の増加が見込まれ、2050年までに鶏肉や豚肉、牛肉の輸入が1500億ドルにもなると予想される。アメリカ農務省経済調査局のレポートによると、2023年までには世界の主要なトウモロコシの輸入国になり、この先10年で、世界のトウモロコシ貿易の40%を中国が占めることが予想されるという。
中国、ロシアへの投資に意欲
2012年には、政府系ファンドのロシア直接投資基金と中国投資有限責任公司が、共同でロシア中国投資基金(RCIF)を設立した。現在では、RCIFがロシア極東地域の共同プロジェクトの主な出資者である。
「我々は、シベリアと極東の農業プロジェクトに対する魅力的な中国の投資に関心がある。お返しに、最大の耕作面積を持つ世界一広大な国として、我々は、中国に食料、とくに農作物を供給することができる。」2014年、メドベージェフ首相がモスクワで李克強首相に言った。極東の開発を進めたいロシアと食料を確保したい中国の両方にとって、農業に関する協力は重要なものといえる。
しかし、もちろん、ロシアと中国の経済協力は農業にとどまらない。現在、中国の投資家は、極東ロシアの優先的発展区域とウラジオストクの自由港でのプロジェクトを20個考えている。ロシアの極東開発省は、中国の投資家はすでに約30億ドルの投資を伴うプロジェクトを発表したという。
10月には、中国の9つの企業が110億ドルを超える額の13の極東投資計画のリストを発表した。このプロジェクトには、自然資源の採取と加工、農業、港、ロジスティクスのインフラなどの開発を含む。
地域開発省のアレクサンドル・ガルシカ大臣によると、いくつかの中国企業はすでに極東地域で約24億ドルを投資しているそうだ。それらの企業はこれまでにセメント工場に投資し、さらにアムール地方の製油所への投資を計画している。
北京は中国の造船所や化学工場、製鉄所の一部をロシアに移す準備ができている。中国は民間や国営企業を巻き込んでのロシア進出に期待を寄せる。
こうして見てみると、ロシアと日本の経済協力が実現する頃には、すでに中国が極東市場の大半を占めているかもしれない。
参考:http://thebricspost.com/china-to-step-up-farm-investment-in-russias-far-east/#.WE9qL_mLQ2x
https://www.rt.com/business/367619-china-businesses-investments-russia/