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自動野菜栽培キットの無償レンタルサービス開始

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ネイチャーダイン株式会社は、独自の自動野菜栽培システム SoBiC オーガニックプランターを試験や開発目的の実験装置として、関連の研究者や業界の方々に幅広く無償でレンタルするサービスを開始する。
SoBiC は 同社独自の物理構成システム技術によって、電気や燃料など人工的なエネルギーに依存せず、太陽の日射熱による空気膨張と収縮の圧力変化を動力源にして、陽が出ると気温上昇に応じて水を天然培地の上部から自動的に給水し、夜になると底部に溜まった水を吸引する仕組みで、 自然のリズムによって水が自動的に循環する仕組みになっている。この「自然の水循環」は、植物が太陽光を受けた時に光合成を活性化する際の水を最も欲するタイミングで常に水やりをしてくれる事と、 天然培地を通じて水が循環する事による濾過機能や生物分解促進による自然浄化と同時に富栄養化機能 も働くなどの自然の摂理によって調和が保たれ、人の手間を要せず、ほぼ放ったらかしの状態でも非常に良く生育する事が実証されている。栽培方法としては、田畑を使わないシステム栽培でありながら、ほぼ完全な「自然栽培」を再現するものであり、シンプルでありながら複雑で高度な自然の調整機能を有した従来にはないまったく新しい栽培システムである。 このシステムによって機動力を持った効率的な新たな農業生産スタイルが生み出せる事と、自然生態系の中での作物生育に関わる複 雑な因果関係を解き明かすのに極めて有効な実験機にもなる。 また農業工学では悲願とも言える栽培生産効率の向上の為の重要KPIの解明が可能になる。

完全水耕栽培や植物工場のような栽培環境を人工的に完全にコントロールする栽培方法は様々あるが、それで生産ができる作物はまだほんの一部でしかなく、殆どの作物は一般的な田畑で栽培生産されており、その収穫生産性を上げるには、気候と作物に応じた「絶妙の土造り」から始まって、気まぐれな天候に対する非常に難しい「対処技術」が必要とされている。 それらの技術は、ほとんどの場合その土地に根ざした特定の作物に対する長年の経験に基づく「生産者の勘」が重要とされている。 この「勘」を数値化して、全般的な作物の生産効率化を図る試みが長年に渡ってされてきていますが、自然環境の成り立ちはそれぞれの地域による気候や地理条件、風土や生息する生物などの無限の複雑な因果関係によって大きく影響を受けるので、豊作にしても不作にしても、その根本要因や連鎖要素を解明する事が非常に難しく、分析の基軸をどこに置く事が有効なのかと言う事も解明できていないのが現状である。 ハイテク技術を活用した人工的な一定環境での栽培試験や分析実験などで、植物生理学に関する解明は著しく進化したが、農業工学としては、常に劇的に変化している自然の環境条件の 中で、そのすべての要因とその変化との関連性を見極める事が要求されるため、まだまったく未知の世界が非常に多いとされている。

それらの課題に対し、SoBiC の自然のリズムと摂理で自動的に生育環境が整えられる「ミニ地球」とも 言える独立環境の中では、無限の不確定要素を劇的に限定でき、すべての要素とその変化が該当作物の 生育具合と物理的に直結している栽培環境になるので、その因果関係が明確に判るようになる。 作物の出来具合は土の物性と成分や土の中にいる微生物や菌などの活動によって大きく影響を受ける事は判っていても、一般的な広い田畑では微生物や菌のコントロールが物理的に不可能なのでその検証が難しかったのだが、SoBiC のように小さなカプセル型の培地であれば可能となるため、その相互関係を詳しく分析する事によって農業工学における革命的な発見ができる事も期待できる。SoBiC の栽培においては、水と土のカプセルと種をセットするだけで、生育そのものだけであれば、人間の手間はまったくかからないため人為的な操作の差異がなく、比較条件を確実に均等にできるので、 明快な比較結果が得られる。また、農業資材の世界においては、特殊な肥料素材や微生物や菌を活用した革新的な栽培効果を謳う農業資材が非常に多くある。 菌や微生物の活動そのものが周辺環境に依存し、その他の様々な生体と干渉するので、直接的な作物との生育結果に対する効能の判断や評価は難しく、論理的な根拠がないが故に「オカルト系」とされているものもあるが、それらに関しても、SoBiC で栽培して比較する事で定量的な評価をすることが可能になる。

現在の農業就労人口の超高齢化によって近い将来における作物生産力は減退へ繋がり、国内食料自給率 を更に低下させる事など、様々な深刻な社会問題の原因ともなっている。 農業生産現場の課題としては、単に労働生産力が減る事だけではなく、既存の生産者の「勘による技術」の伝承が難しい事も非常に大きな課題となっており、「勘」を数値化して、クラウドに集約し技術ノウハウを溜め込む事で、 その技術を誰でも簡単に利用できるようにる「農業 IoT」の普及も急務となっている。 しかしな がら、無限の変動要素ばかりの自然環境の中で、生産者が肌感覚で培ってきた勘(技術)を数値化して、 誰でも判るような指標データとするには、どうしてもある程度のレベルまで変動要素を限定して、デー タの因果関係を整理したKPIの基準値が必要となる。 そこでSoBiCでの検証を同時にする事によ って、様々な要件が整理でき、様々な側面から集約されたマクロ情報との対比や検証によって、新次元のKPI の発見と、さらに実用的な技術情報の蓄積と、情報サービスが可能になると思われている。 また、今後 SoBiC のユニットに簡易な IoT デバイスを装着して販売する事も企画されており、普及展開において協業形態も検討されている。

SoBiC の栽培システム構造としては、基本的に設置・栽培をして結果を見るだけで、客観的な栽培試験 や評価が可能になり、経験値を積み重ねる事で、上記で述べた様々な用途での研究開発に役立つ。 同社としては SoBiC 関連製品の今後更なる進化をさせて行く中で、例えば更に早く生育させる、より 多くの実をつけさせる、もっと美味しい作物が栽培できるなどの「プレミアムカプセル」の開発を目指しており、その為にはより多くの様々な経験値を得る事が必要である。 いずれの目的にしても、多くの 栽培事例を積み重ねる事が最も重要にて、互いのメリットになる協調接点が見出せれば相乗的に互いのメリットが増す事が期待できる。 その為の機会創出を可能な限り広げる為に、無償でレンタルをするサービスが計画された。レンタル期間内での研究開発の内容や詳細データに関しては、 特に同社から共有を求める事はなく、仮に画期的な KPI の発見がされたとしても、それら知財関係に は何ら権利を要求する事はないという。また仮に素晴らしい配合パターンが発見された場合、そのパターンをライセンス化してもらう事でそれを基に共同でプレミアムカプセルを製品化して販売するなど、 協調して新たな収益構造を相乗的に膨らまして行く事なども目指しているという。 そのような新たな豊かさを創造しながら、自然環境や社会環境にも寄与し、ビジネスとしても共に大きく飛躍できるようなビジネスパートナーが求められている。

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