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住友商事、ベトナムで農薬販売会社を設立

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住友商事株式会社、ベトナム住友商事会社および住商アグロインターナショナル株式会社(以下、3社をあわせて「住友商事グループ」)は、先月25日、日本曹達株式会社とともに、農薬販売会社のサミット・アグロ・ベトナム社(以下「SAV社」)を設立したと発表した。アジア地域における農薬販売ビジネスの基盤強化を目的としているとのことで、出資比率は住友商事グループが87%、日本曹達が13%となっている

住友商事によれば、アジア地域(東アジアを除く)の農薬市場は、人口増加に伴う食糧需要の高まりを背景に安定的な成長を遂げ、現在約60億ドル規模と言われているという。その中でもベトナム国の農薬市場は約8億ドルに達し、域内でインドに次ぐ第2位の市場規模となっているとのこと。ベトナムの農薬需要は水稲向けが約70%を占めており、かつ野菜・花卉栽培において日本式の栽培技術が導入され始めていることもあり、今後、日本メーカーの取り揃える農業資材の需要が増えることが見込まれていると説明している。

SAV社は、日本曹達をはじめ日本メーカーが開発するスペシャリティ農薬(除草剤や殺虫剤・殺菌剤)の特徴に応じた開発・マーケティング案を現地発信型で日本メーカーにフィードバックする、質の高い販売代理店機能提供に取り組む。またSAV社は、将来構想として他社の資本参加も受け入れる方針で、住友商事グループが有するソーシング機能を活用して商品ポートフォリオの拡充を進め、かつ顧客サービスの向上に取り組むことで、5年後には売上高2千万ドルを目指すとのことだ。

住友商事の農薬事業は1970年代の日本メーカーの農薬輸出トレードに始まり、現在は欧米を中心に30カ国以上で輸入販売事業を展開している。またルーマニアの農業資材販売事業会社を買収、そしてブラジルでは農業資材問屋Agro Amazonia社を買収し、ノウハウを横展開させることで同地域のシェア拡大を進めている。

住友商事の農業販売網
住友商事の農業販売網(住友商事プレスリリースより)

住友商事グループは、SAV社をアジア地域における農薬販売会社の第一号案件として、ベトナムにおける収益基盤の強化を目指すと説明している。ベトナム農業には、住友商事に限らず、富士通やイオンアグリ創造をはじめとした日本企業による投資が相次いでいる。中間層以上の人口が増大する中で、日本式農業を生かした農産物へのニーズが高まっていることが大きな要因だ。今後は東南アジアでも同様のニーズが高まるとみられ、日本の農業関連企業がいかにしてプレゼンスを高められるかが今後の鍵となりそうだ。

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