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インド、農家の収入倍増は可能か?中国の事例と比較

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ここ最近、インドのナレンドラ・モディ首相率いる政権は、国内の農家の鎮静化に奔走していたようだとEIN newsが伝えている。農民の大決起集会は、マディヤ・プラデーシュ州やカルナータカ州をはじめとした州で行われてきたという。2017年の年度予算も、農家と地方の貧困層へ焦点を当てることで合意された。政権が打ち出すビジョン、それはインドが独立75年を迎える2022年までに農民の収入を倍増させるという、モディ大統領の「夢」である。

首相によると、農業は3つの柱でできているという。1つは伝統的な農業、2つ目に農地の境界に植樹する耕地林業としての多様化、3つ目に食品加工に支えられた家畜や養蜂の助成である。これらの柱は農家のリスクを減らし、収入を増加させる。

6年間で農家の収入を倍増させるということは、実質、年平均で12%の増加率を示唆するものとなり、これは非常に難しいことのように思える。しかしモディ首相は不可能なことではないと話す。

マディヤ・プラデーシュ州では過去5年間で14.2%という農業GDP成長率を実際に記録し、ジャールカンド、チャッティースガル州、グジャラート州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ラージャスターン州、さらにはビハール州もまた7%超えの農業成長を記録した。

インドと中国の比較

世界的に見れば、1978年から1986年の8年間にわたる中国の経済改革によって、農家所得は14%、GDPに占める農業の割合は7.1%も成長し、貧困農家の半数を救済した。この経済改革は、貧困地域における工業製品の大規模な需要を生み出した。

加えてこれは、より積極的に経済改革を続けていくための政治的正当性をもたらした。中国はこれをどのように達成したのだろうか。実に簡単なことだが、国の生活共同体の解体と農業価格自由化によって、小作農家の労働意欲を促進したのだ。近年、中国は農産物価格について重点的にサポートしている。例えば、2014~2015年の小麦の最低支持価格(MSP)は、インドの$226/トンに比べて中国は$385/トンだった。さらにインド東部の多くでは、雨季のコメ市場価格はMSPより15~20%下回ったという。

農家の所得を倍増する他の方法としては、非農業活動へ雇用の一部をシフトすることと同時に生産性を高め、高付加価値農業に向けて生産を多様化することだろう。生産性向上のためには、R&Dや灌漑、肥料などへの巨大な投資が必要だ。

中国と比較すると、インドはこれらすべての分野において遅れており、インドの農業生産性は中国の50~75%程度である。

高付加価値農業への多様化は、バリューチェーンの構築を必要とするが、それについても後追いの状態である。インドは牛乳約145百万トン、園芸作物は270百万トン以上を生産しているが、それらの加工レベルは国際的なレベルよりもはるかに低い。食品加工技術向上への取り組みや、バリューチェーンの構築への取り組みは、貧困地域の農業以外の仕事の創出にも一役買うだろう。

こうしたすべての力を合わせて相乗効果を作り出さない限り、2022年までに実際の農家収入を2倍にするというモディ首相の夢は、夢のままに終わりかねないと懸念が広がっているようだ。

参考:http://agriculture.einnews.com/article/318550527/zaM64kq-Q1m0BtfC

 

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