中国農家による遺伝子組み換えトウモロコシの違法栽培
国際環境NGO・Greenpeaceは水曜日、中国北東部の農家で遺伝子組み換えトウモロコシが違法に栽培されていると報告書上で発表した。これにより中国政府は、国産食品の安全性に対する信頼をさらに損なう可能性がある。
14億人の人口の食糧供給を目指し、中国政府は遺伝子組み換え作物に数十億ドルという投資を行ってきたが、遺伝子組み換えに対する抵抗感が根強い中、いまだ商業栽培は許可していない。
Greenpeaceの報告書は、商業栽培が一度許可されれば政府当局による遺伝子組み換え作物の監督が難しくなり、遺伝子組み換え種子が拡散することで食物連鎖が汚染される懸念を裏付けることになりそうだ。報告書によれば、中国の主要農業地帯である遼寧省内5県のトウモロコシ畑から採取されたサンプルの93%に遺伝子組み換えの陽性反応が確認された。
さらには、同地域の種子市場およびスーパーマーケットから採取した、種子のサンプルとトウモロコシ製品のほとんどから遺伝子組み換えが検出された。違法な遺伝子組み換えトウモロコシはすでに国中の貯蔵倉庫、卸売および小売市場に出回り、最終的には市民の食卓にまで達している可能性が高いとGreenpeaceは述べている。Greenpeaceは遺伝子組み換えトウモロコシがどのような経緯で市場に流入したかは不明だとするが、以前より実地試験で栽培された遺伝子組み換え作物が違法に農家に売られている疑いが指摘されていた。
そのような発表を受け、遺伝子組み換え技術に対する国民の反感は高まっている。一部の遺伝子組み換え反対活動グループは、政府が遺伝子組み換え作物の輸入および国内での栽培認可計画の開示を怠ったとして訴訟を起こすに至っている。遼寧省の種子市場で陽性反応が出た6株のトウモロコシ種子のうち、3株は中華人民共和国農業部(日本の農林水産省に概ね該当)による認可を受けておらず、残り3株は通常の種子として認可を受けたものであり、遺伝子組み換え種子による汚染を受けたと考えられると団体は述べている。
中国農業部はGreenpeace報告書に対するコメント依頼に対し、すぐには返答しなかった。同部は昨年、開発中のバイオ関連製品の監督強化のために規制変更を行っていると述べていた。
調査で特定された遺伝子組み換えトウモロコシの株は、国際企業であるモンサント社(Monsanto)、シンジェンタ社(Syngenta)、デュポン・パイオニア農場(Du Pont Pioneer)のものであるとGreenpeaceはいう。デュポン・パイオニアは法律上中国にバイオテック種子を販売することはないと述べ、未承認のバイオテック作物の流出元について憶測は控えるとした。「知的財産権はどの市場においても懸念される問題だ。なぜならそれは、農家に販売する商品の品質保証のためにも、企業が当社の投資を回収し、当社が新技術への投資を持続するためにも、重要な要素となるためである。」と同社の広報担当者は述べた。モンサント社とシンジェンタ社はコメントを求めるEメールに返答していない。
違法な種子の生産および販売の原因は、種子市場の“非常に手ぬるく無秩序な”管理システムにあるとGreenpeaceは指摘する。同団体は、トウモロコシの品種改良を行う全企業に対する調査と、違法遺伝子組み換え種子の処分を中国政府に推奨している。また中国北部における播種期の年次調査、遺伝子組み換え作物の研究および栽培の監督強化が必要だとした。遺伝子組み換え作物の処分により生じた損失は補償されるべきであると主張している。
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参考:http://www.eco-business.com/news/chinese-farmers-are-illegally-growing-gmo-corn-greenpeace/