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フィリピン:反対運動の一方で進むゴールデンライス(遺伝子組み換えイネ)研究

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遺伝子組み換えイネのひとつであるゴールデンライスに関する研究は、2年以内の商業化を見据えて継続されているようだ。一方、フィリピンで反対派の活動家たちがフィールドテストを破壊したというニュースもある。

ゴールデンライスとはビタミンAの前駆体となるβカロテンを多く含む、遺伝子組み換えイネだ。βカロテンに由来する特有の黄金色をしている。開発途上国ではビタミンA欠乏症に苦しむ人が多く、多くの子供が失明などの危機にさらされており、WHO(世界保健機関)は、アジア全域で、生後6か月から5歳までの170万の子供たちがビタミンA欠乏症に瀕していると伝えている。

ゴールデンライスに関する研究は、フィリピン・マニラにある国際イネ研究所(IRRI)が先導を切って進めてきた。2009年にアメリカの科学雑誌Clinical Nutritionに発表された研究では、1日1カップのゴールデンライスを摂取することで成人の推奨ビタミンA摂取量の50%を賄えると報告されている。だがその一方で、反GM活動家がフィリピン国内にも多いようだ。

IRRIの代表であるBruce Tolentino氏は、フィールドテストを継続することを表明し、ゴールデンライスが人々の健康と食糧安全を促進することを強調した。Tolentino氏はSciDiv. Netに対し、農業生産者がビタミンA欠乏を補う作物のさらなる研究を阻む暴力的な行為に出る現状に、辟易しているのだと漏らした。

アジアにおいて米は主食であり、人々の食生活を変えることが困難で食料供給に法外なコストがかかる地域において、ゴールデンライスはビタミンA欠乏症を防ぐ最善の方法であるとTolentino氏は話す。

実際のところ、IRRIがゴールデンライスのフィールドテストを実施しているバングラディッシュとフィリピンでは、特に多くのビタミンA欠乏症が生じている。

しかしながら、生産者と環境学者の間にはゴールデンライスのこの利点を批判する人々もいる。彼らはゴールデンライスの発展の代わりに、フィリピン政府はベータカロテン豊富な国産のフルーツや野菜の栽培と消費を促進すればよいと訴えている。

国際環境NGO団体Greenpeaceは長年フィリピン国内で、遺伝子組み換え作物に対する抗議運動を行ってきた。同団体は、ビタミンA欠乏の問題の本当の原因は、脆弱な食料需給にあるとも話しているという。

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参考:http://www.scidev.net/asia-pacific/r-d/news/asian-golden-rice-research-to-continue-despite-protests.html

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