穀物メジャーのカーギル、肥料ビジネスから撤退する2つの理由
穀物メジャーがこぞって肥料ビジネスから撤退している。
カーギルが、中央・東ヨーロッパにおける肥料、農薬、種子の販売から5月いっぱいで撤退することを今月18日に発表した。カーギルはここ数年、肥料ビジネスから距離を置き始めている。2011年には、2004年にIMC Global との共同出資で設立したリン酸塩肥料で世界最大手のモザイク社をスピンオフさせている。
ライバル社も次々と肥料ビジネスから撤退している。
2013年には、ブンゲが、自社が保有していたモロッコの肥料会社の株をOCP Group に売却した。また同年、ブラジルでの肥料事業をYara International に7億5000万ドルで売却。さらに2014年には、アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドが南米の肥料事業をモザイク社に売却した。そして現在、西アフリカや南米の肥料ビジネスで多大なプレゼンスを持つルイ・ドレフュスが、自社の肥料ユニットの売却先を探しているのだ。
穀物メジャーがこぞって肥料ビジネスから撤退する理由は二つある。
一つ目に、穀物価格が低下したことによって、主幹事業である穀物のトレーディングが振るわず、肥料事業や農業保険事業などの副業に投資する余裕がなくなっていることが挙げられる。世界的な供給量の増加に加え、中国やブラジルなどの大きな市場での需要が滞っていることが穀物価格の低下の要因となっている。
二つ目に、肥料市場の変動の激しさが挙げられる。肥料市場のデータベースを扱うGreen Markets によると米国産の肥料の価格はこの3年で45%減少したとのことである。このように変動が激しい市場では、在庫やリスクの管理が非常に難しく、肥料をそもそも専門とはしていない穀物メジャーが肥料ビジネスから撤退していると見られる。
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参考:http://www.reuters.com/article/grains-traders-fertilizers-idUSL2N15X1PG