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農業大国アメリカでさえ悩む労働力不足 魅力的な職業にするための策とは

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日本は農業の担い手不足の問題を抱えるが、かの農業大国アメリカでも労働力の確保に頭を悩ませている。

アメリカの農業は移民によって支えられている-メキシコからの移民に対して厳しい政策をとるトランプ政権が誕生して以来、こうした認識が広まってきた。ところが、実際は、新政権が誕生する前から移民の労働力が不足しているというのが現状だ。

農業に就く多くの移民はメキシコ出身だが、そもそもメキシコ国内で働く農家自体が減少している。かつてメキシコの田舎に住む子どもたちは農業の担い手になるべくして育っていたが、農村部に学校が建設され教育が行き届くようになり、田舎の子どもたちは農家にならなくなった。農業経済を研究するダイアン・チャールトン氏とエドワード・テイラー氏によると、1980年から2010年の間、メキシコの農場労働者数は毎年15万人も減少している。

また、アメリカのシンクタンクであるピュー研究所によると、不法移民の取り締まり強化と2008年の経済危機による影響で、2014年、ここ数十年で初めて、故郷に帰るメキシコ人の数がアメリカに移住するメキシコ人の数を超えた。

それに加えてのトランプ政策。農場経営者は深刻な人手不足に悩む。非営利団体the Partnership for a New American Economyの2015年のレポートによると、人手不足によって野菜・果物の生産量が1年で9.5%も減少し、31億ドルの減収となった。

労働力不足に悩むカリフォルニアの対応とは

アーモンドや米、オレンジなど、農業が盛んなカリフォルニア州では、農業における労働力確保のため、労働条件の改善に取り組む。カリフォルニア州雇用開発局によると、2010年と比較して2016年の穀物生産に携わる労働者の賃金は28%もアップし、年収は約3万2500ドルとなった。

カリフォルニア州のニンニク生産・加工会社Christopher Ranchは賃金アップによる労働力確保に成功した一例だ。この会社ははじめ、労働力確保のために多くの求人広告を出し、最低賃金を10ドルから11ドルに上げた。ところが、会社はシリコンバレーの広がるサンタクララ郡にあり、そこに住む人々は高い収入が得られるIT企業で働く。このため、遠方の人々に働いてもらわなければならないのだが、たった1ドルの賃金アップでは、はるばる通勤してくれる人を見つけ出すことはできなかった。

そこでさらに賃金を13ドルに上げ、2018年には15ドルにまで引き上げることにした。すると求人への応募が一気に増えた。現在では150人もの人が補欠リストに入っており、中には往復2時間かけて通勤してもよいという応募者までいる。

このような各農業企業の賃上げ努力に加え、州は労働時間にも魅力を感じられるようにした。

カリフォルニア州知事は昨年、農場労働者の残業について定めた法律に署名した。この法律によって、労働時間が8時間を超えるかあるいは週40時間を超えると残業代が出るようになった。知事はただ給料を上げるだけでは新しい労働力を確保することはできないと考えている。農業にも残業制度ができるのは画期的だ。

このように、アメリカでは農業の労働力確保のために賃上げや労働条件の改善がされている。日本でも農業改革が行われ、担い手獲得のために「儲かる農業」がキーワードとなっている。日本とアメリカの農業形態は違うが、農業が魅力的な職業となるには、アメリカのように収入アップや労働時間を見直すことが必要となるだろう。

 

参考:http://www.pewhispanic.org/2015/03/26/share-of-unauthorized-immigrant-workers-in-production-construction-jobs-falls-since-2007/

http://www.latimes.com/business/la-fi-garlic-labor-shortage-20170207-story.html

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