アサヒグループ・ビール酵母を活用した農業肥料開発の新会社設立
お馴染み“スーパードライ”で知られるアサヒグループホールディングス(株)はビール酵母を活用した農業肥料の開発に取り組んでいる。今月1日、持続可能な社会の実現に貢献する事を目指し、新規事業会社「アサヒバイオサイクル株式会社」を設立した。
アサヒグループは中期経営方針で掲げる3つの重点課題の一つとして、「サステナビリティの向上を目指したESGへの取り組み強化」を掲げている。ESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の頭文字をとった言葉である。近年急速に世界中に広まっており、2017年の投資テーマにもなり得るものだ。今回の新会社設立はそれの一環とも言える。
アサヒグループは、「世界の人々の健康で豊かな社会の実現に貢献する」ことを経営理念に掲げ、人々の健康や豊かな食生活に貢献するために、早くからビール醸造工程で取り除かれるビール酵母に着目し、商品に活用してきた。胃腸・栄養補給薬「エビオス錠」や調味料の原料である「酵母エキス」、家畜の飼料などはビール酵母の高い栄養価を用いて作られているものだ。
2004年には、ビール酵母の細胞壁が持つ“植物の免疫力を引き上げる力”に着目し、食品由来の安全安心な資材の開発が始まった。
開発した資材は、農産物収量の増加や品質向上、及びゴルフ場や公園施設などの芝の品質向上を実現できるものであり、農業や芝管理の関係者と連携して取り組むことで新たな技術革新になるといえる。それにより、水田転作地や耕作放棄地を活用し、地域振興を含めた新たな取り組みを目指す。また芝管理においても、食品由来の資材を使用することで施設管理者のみならず、利用者への安全安心にも貢献する。
既に水稲収穫量当たり、およそ29%のCO2排出量を削減する効果がわかっており、2015年、国際学会で発表された。新たに開発した農業資材を用いた稲作は従来と比べ、収穫量当たりの温室効果ガス排出量が大きく減少すると計算された。
アサヒグループはこの新規事業会社「アサヒバイオサイクル株式会社」において、「社会的価値の創造」「社会からの期待への対応」、「企業としての土台」の3つに分けてESGに取り組むという。具体的には、この事業の他に、健康価値を提供する商品の開発、新規事業の導入によるCO2排出量削減などに取り組んでいくそうだ。
Link: http://www.asahigroup-holdings.com/news/2017/0227.html