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農業技術と遺伝子組み換え作物 マクドナルドのサプライチェーン

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Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.


 

AgFunderNewsによる報告だ。1月初旬にイギリスで行われたオックスフォード農業会議のあと、AgFunderNewsはマクドナルドUKのサプライチェーン主任、コナー・マクヴェイ氏へのインタビューを行い、ファストフードチェーンが農法に与える影響についてより多くの詳細と、彼自身の農業技術への見方を聞いた。

イギリスにおいて、マクドナルドは何エーカーの農地を傘下においているのですか?

私たちマクドナルドは、どこでもできるだけ地元の原材料を調達するよう努めています。私たちはイギリスとアイルランドの農業の主要なサポーターであり、17,500人以上のイギリスおよびアイルランドの農場主が、イギリスにおけるマクドナルドのメニューに高品質な原材料を供給しています。

これらの農場はマクドナルドからは独立しており、その多くは多様な顧客を持っているでしょう。私たちと農場主との関係は、私たちの提携サプライヤーのひとつを経由したものです。彼らの中には、40年以上提携しているところもあります。こういう連携ですので、何エーカーが使われているかは正確に述べることができません。

 

マクドナルドはサプライヤーが採用する農法に対し影響力を持つのでしょうか? 影響力を持つとしたら、どの程度でしょうか?

私たちマクドナルドは、農業が私たちのビジネスにとっていかに重要であるかを理解しています。私たちがサプライヤーや農場主と協力し、長期的な持続可能性の確保に熱心に取り組んでいるのはそのためです。そして2012年にファーム・フォワード(Farm Forward)を立ち上げたのもそのためです。これは私たちのメニューに高品質な原材料を供給してくれるイギリスとアイルランドの農場主を支援する長期プログラムです。

ファーム・フォワードは、私たちがどのように農業の持続可能性をサポートするかの概略を決定し、私たちの広範囲な農業分野の活動で採用する、統一された品質基準を定めます。

農場主の経営方針に口をはさむつもりはまったくありませんが、私たちは動物福祉基準を拡充したり、農場主が農場の効率を向上させる際にサポートする方法を探したり、環境を改善したり、食品産業界・農業界で働くことを考えている人々をサポートし後押しをするために、技術と訓練の機会を提供することを通じて貢献したいと考えています。

ファーム・フォワードの一環として、私たちは革新的ヤング・ファーマー・プログラム(Progressive Young Farmer programme)などの取り組みを始めています。これは熱意のある若い農業従事者を12ヶ月間受け入れるユニークなプログラムで、農場から店のカウンターまで、ビーフ、ポーク、乳製品いずれかのサプライチェーンを見る機会を提供しています。私たちはまた、2016年に農産物で同様のプログラムを加えます。これを発表できることを嬉しく思います。そちらはジャガイモとその他の農産物に焦点を合わせたもので、申し込みが最近締め切られたところです。

また、私たちはファーム・フォワードの下で、サプライヤーやリサーチプログラムの実施を助けてくれるSAI(Food Animal Initiative)のような独立コンサルタントと緊密に協力しています。これは私たちの放養場向上プログラム(range enrichment programme)の設立といった、動物福祉の構想につながりました。私たちの朝食メニューでは放し飼いの鶏が産んだ卵を使用していますが、このプログラムは、その卵を供給するすべての生産者に、雌鶏の動物福祉と生産性の向上のために、農場に日陰を作る木を植えることを義務付けています。

農場の環境改善促進サポートのひとつの例としては、私たちの持続可能ビーフ・クラブ(Sustainable Beef Clubs)の活動の一環として、イギリス、アイルランド各地の200の牛肉生産者と六年以上にわたる協力関係があります。私たちは1300以上の年次炭素評価に出資してきました。そして牛肉生産者を年2回集め、彼らのビジネスが直面する難題を話し合い、業界専門家から実際的な問題について話を聞く機会を提供しています。私たちはまた、農場から集められたデータに基づき、農業の持続可能性の評価と代償措置サービスを行うサプライヤー、Alltech-ECO2と共に、私たちのサプライチェーンの枠を超えた、農場主のためのオンラインビジネスツールの立ち上げに取り組んでいます。このツールを使うと、農場主は効率を向上させる潜在的なポイントがどこにあるかを判定することができます。それはカーボンフットプリントを減らすことにつながり、財政面での節約も可能にします。

 

現在、マクドナルドが特に力を入れて奨励している、または変えようとしている農法はなんですか?

さきほど触れましたように、私たちは食品産業と農業を、高度な技術を持った、携わるのが望ましい産業にすること、動物福祉の高い基準を拡充すること、環境面の持続可能性の継続的改善を促進することに貢献したいと考えています。

私たちは、広範囲で持続可能な調達プログラムの一環として、基本方針を常に改良しながら共同作業をする重要性を理解しています。私たちはこの産業が直面する難題と、私たちがそれをどのようにサポートできるかを理解するために、サプライヤーや生産者と緊密に連携しています。これは、英国動物愛護協会によって保証された豚肉や、ポテトフライ用に100%イギリス産のジャガイモを調達するといった、持続可能な調達手段という形で実を結びました。

私たちは2016年に対象を広げ、持続可能な生産方法をとっていることが証明された農場からの牛肉の調達をスタートしたいと考えています。これは現在進行中ですが、私たちはここ数年間、この目的を達成するために、サプライヤーや持続可能な牛肉のための世界円卓会議(the Global Roundtable on Sustainable Beef)、持続可能な農業イニシアチブプラットフォーム(SAI Platform)などの団体とともに、指導的な役割を果たしてきました。

 

現在あなた方の農業サプライヤーが採用している新しい技術革新で、あなたが注目しているものはなんですか?

2015年に、私たちはマクドナルド・ファーマー・イノベーション・アワードを立ち上げました。これは業界が取り組んでいる難題への対処に役立つ実践的解決方法を見出だすために、クリエイティブなアプローチを実践した革新的な農場主を表彰するため創設されました。農業界のあらゆる領域、また国内各地からの推薦により決まります。審査の結果、スタッフォードシャーのジャガイモ生産者W.B.ドー・アンド・サンが受賞しました。

ジェームズ・ドーとご家族は、業界の専門家やサプライヤーのマケイン・フーズとの協力で、農場の環境改善への持続可能なアプローチを取り入れ、ジャガイモ部門での精密農法の一環として、収穫量マッピング能力を向上させました。

私たちは一年間に250,000トンのジャガイモを使用しており、昨年の9月、ポテトフライ用としてイギリス産のジャガイモのみを調達することに数百ポンドを充てると発表しました。ますます多く必要となっていく高品質の原材料――これをお客様はとても高く評価していますが――を確保するために、私たちには活気に満ち、持続可能なジャガイモ生産業界が必要なのです。

これが、私たちが100%イギリス産のジャガイモを使用する方針に続いて、持続可能ポテト・サプライ・グループ(Sustainable Potato Supply Group)を立ち上げた理由です。これには私たちのサプライヤーのマケイン・フーズ、ラム・ウェストン、そしてリサーチ・パートナーのFAI (Food Animal Initiative)が参加しています。このグループを通して、私たちは土壌と水の管理から後継者の育成に至るまで、ジャガイモ産業を深刻に圧迫する難題を理解するために、イギリスのジャガイモ生産者と交流しています。

 

農業技術の研究・開発プロセスへのマクドナルドの貢献は企業内部でのものですか? それとも外部に波及するものでしょうか?

私たちは、持続可能エッグ・サプライ・グループ(the Sustainable Egg Supply Group)や持続可能ビーフ・クラブ(the Sustainable Beef Clubs)といった、私たちの持続可能なサプライ・グループの元で、サプライヤー・パートナーや独立した業界の専門家と共にたくさんの新たな取り組みを実践しています。

マクドナルドにとってトレーサビリティは常にもっとも重要で、これは馬肉スキャンダルの時に効力を発揮しました。ひとつの企業として、私たちは最初から流されず、断固とした確信を持っていたので、自社の商品の出所を見つけるのに苦労した他の企業のように巻き込まれることはありませんでした。その結果、私たちのサプライチェーンとトレーサビリティ基準は、この分野で最高のものとして、独立した政府の専門家であるクリス・エリオット教授から推薦を頂いています。私たちのトレーサビリティへの投資は何年も続いており、それがブランドとして、またお客様の信頼のために重要であり続けるかぎり、これからも続きます。

 

遺伝子組み換え食品に対するマクドナルドの見解はどのようなものですか?

マクドナルドUKでは、遺伝子組み換えの原材料は使っていません。家畜用の遺伝子組み換え飼料に関しては、穀物や他の家畜飼料が調達された地域を特定することは不可能だと理解しています。また、遺伝子組み換えされていない飼料を使っているかどうかを特定することも、現実的ではないと理解しています。

私たちは消費者の意見、科学的進歩、そしてイギリスおよびEUの遺伝子組み換え作物と遺伝子組み換え農産物についての提言をモニターし続け、農業、科学、そして政府の専門家の、このトピックに関するガイダンスを信頼します。

 

消費者があなた方に求めるものは主になんでしょうか。また、技術はそれらにどう取り組むことができるでしょうか?

マクドナルドでは、私たちのお客様は高品質の原材料からできた、安くておいしい食べ物を求めていらっしゃっていると心得ています。それが、私たちが動物福祉、品質、そして食品安全の高い基準を満たす製品や原材料だけを使う理由です。

私たちのオープンで透明性の高いサプライチェーンと、私たちを支援してくれる提携サプライヤーとの長期的な関係が、消費者の要求を満たすことを可能にすると私たちは信じています。

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Link:https://agfundernews.com/mcdonalds-uk-supply-chain-director-on-agriculture-technology-and-gmo5269.html

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