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TPPはベトナム農業を悪化させる:貿易自由化で増えるアメリカ製品の消費

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ベトナムの農業生産は、TPP(環太平洋経済連携協定)によって多くのアメリカの商品の輸入関税が撤廃されるため、競争が激化するものと見られている。

USDA(アメリカ農務省)は、ベトナムがTPPのもと輸入関税を撤廃した結果、アメリカの農業にとってチャンスが巡ってくると発表した。

USDAによれば、ベトナムの農業生産物への関税の平均は16%で、一方アメリカからの輸入品の関税は、今年2月にサインされたTPPのため、2018年までに平均5%になるとのこと。ベトナムは食品や農作物の関税を全体的に撤廃し、アメリカからの輸入品価格が競争関係となり、同時にTPP非加盟国と一線を画すことになる。

FDAのコンプライアンスアシスタンスを企業向けに行い、アメリカ国内外の食品や薬品の製品登録を行う、レジストラー・コープのヴァイスプレジデントのDavid Lennarz氏は、TPPがベトナムの農業生産にネガティブなインパクトをもたらしかねないと警鐘を鳴らす。

「ベトナムの安全でない食品が出回る中で、ベトナムの消費者は国外の食品への需要が高まっている。これはアメリカ企業にとって、ベトナム国内でビジネスをするにあたり、大きなチャンスとなる。」と彼は話す。

カーギルやコカ・コーラ、スターバックスコーヒー、サントリーペプシコなどといったアメリカの農業に関連した企業の代表者がハノイで会合を行い、彼らはTPPは輸入関税の撤廃のおかげで、ベトナムでのビジネス拡大を可能にするものだと話した。

コカ・コーラは今後数年間で300百万ドルの投資を行う予定だと発表された。1994年から2015年までの間、同ブランドは700百万ドルをベトナム国内に投資した。この金額のうち、300百万ドルは2013年から2015年までの間に投資された。ベトナムの動物飼料協会のLe Ba Lichチェアマンは、様々な自由貿易協定とTPPのために海外からの食品に国内の食品が大きく影響されるとの見方を示した。

例えば、トウモロコシやダイズの関税がTPPによって撤廃されると、多くのアメリカ企業が動物用飼料の生産を拡大させる要因になる。

この一例がアメリカの穀物メジャー大手のカーギルだ。カーギルは11番目の飼料工場を、ベトナム中心に位置するゲナン省に建設し、今年稼働を開始した。最近カーギルは、7百万ドルをベトナム南部にあるドンタップ省にあった飼料工場の拡大に充てた。一方でカーギルのベトナム国内へさらに40百万ドルの投資が行われると発表され、同国への投資はトータルで180百万ドルにもなるのだ。

USDAによれば、ベトナムはアメリカの食品や農作物のマーケットの中でも最も早く成長を続けており、2015年には合計2.3十億ドルの輸出額を記録した。これはベトナムがWTO(世界貿易機関)に加盟した2007年の輸出額の357%に上る。

ベトナムは今や11番目のアメリカ産農作物の輸出相手国となっており、その中でも綿花やナッツ類、ダイズ、畜産物などが上位品目である。

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参考:http://www.world-grain.com/news/news%20home/LexisNexisArticle.aspx?articleid=2582125277

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