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アフリカ南部にも追い打ちをかけるエルニーニョ現象

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国連WFPによると、アフリカ南部では昨年の不作の原因となった干ばつが未だに続いており、1400万人が飢餓に直面されているという深刻な事態に発展していると発表した。

当メディアでも、インドネシアをはじめとした東南アジア諸国でエルニーニョ現象による大干ばつの影響をお伝えした。多くの国でコメの生産量が落ち込み、先日配信した記事「フィリピンの農業セクター 2016年の降水量減少に備える」でもお伝えしたように、今年に入ってからもエルニーニョ現象の影響が懸念されている。

エルニーニョ現象はアジアだけでなく、アフリカ南部にさらに深刻な干ばつの被害をもたらし、今年収穫を迎える作物にすでに影響が出ているという。またアフリカ南部最大の穀倉地帯であるザンビアも干ばつに見舞われ、同国のみならず周辺地域の国々に大きな影響を与えている。

同地域で最も甚大な被害を被ったのは、マラウイ(推定飢餓人口 280万人)、マダガスカル(推定飢餓人口190万人近く)、ジンバブエ(推定飢餓人口150万人)だった。ジンバブエでは深刻な不作となり、農作物の収穫が前年にくらべて半減したという。レソトでは人口の約3分の1に当たる65万人が食糧難に見舞われ、先月政府が干ばつによる緊急事態を宣言した。農業や酪農に必要な水資源が大幅に不足している。アンゴラ、モザンビーク、スワジランドなどでも、同様の懸念が高まっているということだ。同時にアフリカ南部での食糧価格も高騰している。

今回のエルニーニョ現象は過去30年で最も強烈と言われており、国連WFPの分析によるとアフリカ南部では農村部で4000万人以上、都市部では900万人以上がこの影響を受けるようだ。

国連WFPは、政府や地域機関、関連団体と協力し、不測の事態に備えた対策や対応を急ぐとともに、携帯電話技術を用いて食糧事情や価格、市場の動きをモニタリングし、食糧供給の確保に努めていく考えだ。

▼エルニーニョ現象
南米・ペルー沖の太平洋赤道海域で海水温が平年より高くなり、その状態が長期間続く現象だ。この現象よって、雨を降らす積乱雲が通常年より東に発生する結果、北米・南米の西海岸で雨量が増加し、東南・南アジアでは少雨となり干ばつの原因となる。2~7年おきに発生するエルニーニョ現象であるが、今年のエルニーニョ現象は強力で、スーパーエルニーニョとも呼ばれ、過去最大の規模であった1997年レベルを超え、史上最強になるのではないかと言われている。

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