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フィリピンの農業セクター 2016年の降水量減少に備える

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2016年はフィリピンの農業にとって決定的な年となるだろう。なぜならば、エルニーニョ現象に起因する降水量の減少に直面しているからだ。しかし、農業セクターが向かい合わなければならないことはこれだけではない。農林水産省は、如何にしてコメとトウモロコシの生産量を改善するか、畜産業を押し上げるか、などといった問題の解決法についても考えなければならない。

本年度2016年において、農業セクターに割り当てられた国家予算は940億ペソに上る。これは2015年の890億ペソから増加した形だ。農林水産省の優先度は、エルニーニョ現象への対処に大きく集中している様に見えてきたかもしれない。しかし、農務長官であるプロセソ アルカラ氏は、国家の穀物栽培、畜産行、また漁業に対する関心も本年度下がることはないと述べた。

「我々には無視することが出来ない通常の業務領域がある。我々は常にコメの生産に重きを置いてきた。多くの改善を行うと同時に、トウモロコシの生産においてもより積極的になりたいと考えている」とアルカラ長官は述べた。「また、高価値作物の栽培を優先事項に加えたいとも考えている。なぜなら、それは農業セクターに対して多大な貢献をもたらすからだ」とも付け加えた。

畜産業に関しては、省としては病気やウェイルスにかからない様に気を付け、産業の健全性を維持して生産拡大への準備を整えたいと述べた。

エルニーニョとの格闘

早くも今年度において、長引くエルニーニョ現象はすでに国家の農業部門だけでなく、一般経済に対しても損害を及ぼした。干ばつを誘発し、モンスーンの発生を遅らせるエルニーニョ現象は、気候変動により過去の5年間隔ではなく2~3年の周期で発生するようになった。1960年から2010年の間に、フィリピンを弱いものから強いものまで15回に渡るエルニーニョが襲った。1997~1998年に発生したこれまで国内で最も深刻な被害を及ぼしたエルニーニョ現象では、フィリピンの農業の70%が影響を受けた。

フィリピン大気地球物理天文局(PAGASA)は、国が今現在直面しているエルニーニョ現象はそれと同程度に深刻な可能性があり、2016年の第一四半期に中度から強度の強さに強まる可能性があると発表した。アルカラ長官は最近政府に対して、気候変動に対する国の対処能力を強化し、また長引くエルニーニョに対する国家の回復力を確立するために、積極的なリスク管理体制及び構築する様呼びかけた。

土壌・水利管理局(BSWM)のディレクター、シルヴィノ テジャダ氏は、干ばつに対する脆弱性評価・マッピング・干ばつリスク情報・早期警告システムを統合した、国家の干ばつ政策を策定する必要があると述べた。

アルカラ長官は、国家が土壌や水資源の減少や、気候変動により引き起こされる極端な気候といった負の条件に対抗しながら、増加し続ける人口に食料を供給するという課題に直面している今、そのような政策への呼びかけは、より妥当性の高いものだと説明した。

10月には、農林水産省は、蔓延するエルニーニョの農業セクターへの影響を緩和するために、政府に対して20億ペソの予算を求めた。これは、国家経済開発庁(NEDA)率いるエルニーニョ対応委員会において提示され、2014年に提案された従来の18億ペソの干ばつ緩和予算よりも高い額だった。この予算は、コメ、トウモロコシ、高価値作物、畜産業、漁業に対する生産サポートと共に、作物の害虫管理・水資源管理・情報提供といった支援施策にも使われる予定だ。

産業の成長曲線は未定のまま

2015年の農業セクターの実績の最終的な数字がまだ農林水産省から発表されていないため、アルカラ長官は省の2016年の目標数字に関しては、現時点では未定だとした。「2016年の第1四半期中に目標数字の設定を行いたい」と述べた。今年度(2015年)においては、農林水産省は2~3%の成長目標をおいたが、台風や日照りによる被害のために達成できない見通しだ。

「強まるエルニーニョの影響で、我々は目標を達成できないかもしれない。しかし、達成できないとしても、目標数値を維持することは重要だ。そうすることで、我々はここを目標にしたけれどもこれだけしか達成出来なかったのだということが分かり、何が上手く行かなかったのかという原因が発見できるだろう。我々は評価の過程においてそういう分析をする必要がある」と長官は語った。

2015年の第3四半期において、フィリピンの農業セクターは強力なエルニーニョの影響及び数度の台風の発生を耐え忍ばなければならず、やっとのことでわずかながらの成長を遂げた。この期間中、農業セクターの名目総生産は3,360億ペソであり、成長率は0.04%となった。これは昨年同時期に比べて3.23%低い数字だ。その結果、2015年1~9月の農業成長率は0.65%となった。

「畜産、養禽、漁業の分野では生産高が増加したものの、耕種農業の分野においてエルニーニョによる苛烈な高温と台風Egay・Hannah・Inengによる大きな損失が生じた」ということがフィリピン統計機構農業統計局(PAS-BAS)のデータから分かる。2015年の第4四半期及び通年のフィリピンの農業セクターの実数データは来年早々発表される予定だ。

「私の任期中、我々は本当によく足を運んで、農家の方々と直接会って相談を行った。政府には欠点もあったが、直接農家の方々に政府から進んで連絡を取るというのは初めての事だ」と長官は述べた。アルカラ氏は、農業輸出額と輸入額の差が縮まったのは彼が農務長官を務めた期間中であったことを強調した。

 

参考:http://www.mb.com.ph/agriculture-sector-prepares-for-drier-weather-in-2016/

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