Amulモデルがインドの農業を変える!?
搾取的な仲介人
インド政府が、大手乳製品メーカーであるアムール社のマーケティング手法を参考に、農作物市場のサプライチェーンの改革に乗り出すことが現実味を帯びてきた。搾取的な農作物ブローカーを排除し、農家自身の儲けを大きくすることが狙いだ。
インドにおいて、農作物ブローカーによる農家の搾取は非常に根深い問題である。
1954年にAgricultural Produce Market Committee Act (APMC Act)が制定されて以来、インドでは、農作物の取引がマンディという定められた市場においてのみ許されている。その結果、マンディでの通商許可を持っている「農作物ブローカー」を通さなければ、農家は農作物を売ることができず、農家は農作物ブローカーから長い間搾取されてきた。具体的には、農作物ブローカーはサプライチェーンに無駄に介入し、サプライチェーンを分割することによって、農家の儲け分を削る分、自分たちの儲け分を増やしてきたのである。
サプライチェーンの統合
この問題の解決案として浮上している「アムール社モデル」であるが、そのカギはサプライチェーンの統合にある。NITI Aayog が数日前に発表した農業開発に関するレポートでは、農業のサプライチェーンを統合することの重要性がまさに訴えられている。
理由として、サプライチェーンの上流から下流までを統合することができれば、農家と消費者が繋がり、双方にとってwin-winな関係が構築されることが指摘されている。
また、目まぐるしく変化する農作物の需要と供給に農作物市場が反応できていない現状の問題も、サプライチェーンの統合によって解決されることが主張されている。
根強い問題
農業におけるサプライチェーンの統合が主張されたことは初めてではない。2014年に解体された政府の開発機関Planning Commission や、モディ首相が以前代表を務めていた消費者団体なども以前から農家の消費者への直接販売や農業組合によるサプライチェーンの統合を主張していた。
しかし、インドにおいて、農作物サプライチェーンの分裂問題は根強い。搾取的な農作物ブローカーの問題に加え、インフラの乏しさという問題も抱えているためである。結果的に、農家は常に儲けの少なさに悩まされており、農家の多くは困窮状態に陥っている。
NITI Aayong の農業開発委員会は、各ステークホルダーや州に意見を集ったの地、レポートに修正を加え、レポートをNITI Aayong の理事長とモディ首相に提出する予定である。
本レポートが、今後インド農業のサプライチェーンの改革の足掛かりになるか楽しみである。