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伸び悩むアジアの農業生産性 解決の糸口とは

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緑の革命はアジアに驚くべき成果をもたらした。ほとんどの作物、特に地域の主要産物であるコメの収穫高は、ここ数十年の間に2倍以上に増加した。アジアを代表する稲作地帯とされるメコン川下流域では、緑の革命がもたらした新たな技術や品種は大成功した。

メコン川下流域のカンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムといった国々では、1980年から1995年の間にコメの生産量が68%も跳ね上がった。同じ時期に、1ヘクタール当りの平均収穫量は3.5トンまで増え、1960年代の水準と比べて2倍以上に増加した。また、コメの総作付面積も1996年から2005年の間に25%増加し1,630万ヘクタールとなった。

しかし、2013年の末までに、成長は鈍化した模様だ。

2006年から2013年にかけて、メコン川下流域のカンボジアを除く国々で、コメの平均面積当り収穫量の成長率は22%まで減少し、総生産高の成長率は35%にとどまった。

この平均面積当り収穫量と総生産高の増加率の鈍化はメコン川下流域に限ったことではない。同様の現象が他のアジア地域においても様々な原因で起こっている。主な原因の一つとして、緑の革命のもたらした技術、とくにコメの新品種が採用し尽くされたということがある。同時に、地質や水質の悪化や、不十分な農場の経営管理、そして農地の農業以外の用途への急速な転換もまた、減速をもたらした犯人だ。国際市場におけるコメ価格の下落による利益率の低下もまた、負担をもたらした。

低い生産性

農業は現在においてもアジアの総生産の10%を占め、重要な雇用の創出源でもある。アジアの農村地域の雇用の45%が農業に関わるものだ。平均面積当り収穫量と生産高の減少は、生産性、つまり労働者一人当りの生み出す付加価値がさらに減少することを意味する。

既にアジアの農業生産性はサハラ以南のアフリカに次いで2番目に低い。2013年において、アジアの開発途上地域の農業の労働者一人当たりの付加価値生産は、2005年の物価水準に換算して$804に過ぎなかった。これはサハラ以南のアフリカの$705よりも若干高いが、依然として世界の低~中収入レベルの国々の平均$929よりも低い。

農業生産性の減少傾向はまた、アジアで農業を生活の糧とする人々の収入の減少を意味する。農業収入が減少を続ければ、貧困はより根深いものとなるだろう。この問題を説明するための例挙げると、現在カンボジアでは人口の41%が一日の収入が$2以下という貧困層だ。ラオスにおいては、この割合は62%にのぼる。

生産性の改善は、メコン川下流域の農業に強く依存する経済を持続可能なものとするため、決定的に必要なことだ。過去においては、30年以上に渡ってメコン川下流域の国々が享受してきた平均生産量や総生産高の大きな増加に見られる様な生産性の向上によって、地域の農業の発展の維持が可能になった。しかしながら、平均生産量の減少に伴い、メコン川下流域における農業の選択肢は限られたものとなってきている。単純に平均生産量や生産高の拡大を目指すだけでは、状況を決定的に変えることはできない。そろそろ農業の成長の障害を解決する具体的な行動を起こす時だ。

積極的な政策改革の必要がある。過去の改革は、生産高を向上させる新しい技術の恩恵を受けて、メコン川下流域の農業セクターに大きな利をもたらした。現代において、適切な改革の実行は、紛れもない地域の食料供給源としての、農業セクターの生産性のポテンシャルをさらに解放することが出来るだろう。

改革に必要な一つの要素に、持続可能な農業用地の管理がある。メコン川下流域の農業従事者の多くが小さな土地を保有するため、彼らにしっかりとした土地保有権と財産権を提供することが極めて重要だ。より統合的な土地と水資源の管理に加えて、多数の利害関係者で土地利用計画を立てるというアプローチが、農業従事者が農業生産性と農村地域の生計を回復するための計画を考えていくために欠かせないことだ。

メコン川下流域において、新たな技術革新や経費削減に有効な農村地域の灌漑・市場インフラ、そしてより良い作物品種を広めていくことも優先事項に含まれる。農村地域における決定的なスキル不足を解決するために、農業従事者の知識管理の改善のための投資もまた欠かせない。

よりよい結びつき

気候変動とそれに伴う農業への影響を考える時、農業システムの不確定性を減らすために、気候変動の影響の緩和策や適応策が実行されることが重要だ。そろそろ、効果的な肥料や灌漑の利用に関する法規制を導入し、農業に対する気候変動の影響を評価する国家戦略を立案することが必要な時だ。

地域の市場の統合が進んでいることを利用するため、メコン川下流域の農業システムは、農業従事者を市場や新技術そして知識フローによりよく結び付けるものでなくてはならない。代表的な例が、稲作というメコン川下流域の国々に大きな将来性をもたらす産業のサプライチェーンの開発だ。このサプライチェーンの開発は、農業セクターの競争力の向上に大きな影響をもたらすと考えられるが、食品基準やロジスティクスの改善や農業貿易における関税障壁の撤廃のための施策が必要となるだろう。

最後に、そろそろ過去30年以上に渡って農業セクターを支配してきた公的機関の意識を変える時だ。緑の革命によってもたらされた技術が完全に統合された今、急速に統合が進む農業市場という現在の環境において農業セクターがいかにして生き残り、繁栄していくかを真剣に考えてもいい頃だろう。農業生産者と市場の需要や新たな設備整備とを結び付けることや、より良い技術の開発や市場の失敗を是正する行政介入に、民間企業が以前より大きな役割を果たしている今、農業生産性の再活性化や再び隆盛する農業セクターの実現に向けた布石を整えるべき時だ。

 

参考:http://www.economywatch.com/features/Alarms-are-Sounding-in-Asia-Over-Agricultural-Yields1222.html

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