インド 食料安全保障法を全ての州に4月導入予定
待ちに待った導入
ラム・ヴィラス・パスワン食糧大臣がタミル・ナードゥ州を除く全ての州と連邦直轄領に食料安全保障法を四月までに導入することを発表した。
実は、食料安全保障法はもともと2013年に議会で締結され、一年以内の導入が決められていた。しかし、導入期限は繰り返し延期され、現在でも11もの州において食料安全保障法は導入されていない。こういった状況の中、食糧大臣が全ての州と連邦直轄領への導入へ強い意欲を示したのである。
食料安全保障法の課題
食料安全保障法が導入されれば、一人あたり5キロの穀物が毎月低価格で国から支給されることになり、人口の15.2%にあたる1億946万人もの人が栄養不足状態であるインドの食料安全保障は大きく改善するであろう。
しかし、食料安全保障法の導入には課題もある。レーション・カード(ration card)の100%デジタル化である。
レーション・カードとは国から配給品をもらう際必要となるカードであり、各家族に一つ支給される。レーション・カードには三種類あり、その家族の経済的ステータスに応じて違ったレーション・カードが支給される。このレーション・カードのおかげで、高所得者に比べ低所得者がより多くの配給品を得られるような仕組みとなっている。
しかし以前、レーション・カードの偽造や、低所得者がそもそもレーション・カードを所持していないという問題があり、そのため最も配給品を必要としていた低所得者層が配給品にアクセスできていない状況があった。
そこで近年、レーション・カードの偽造や配給の漏れをなくすためレーション・カードのデジタル化が進められてきた。現在、既にレーション・カードの97%がデジタル化されているが、4月までにレーション・カードのデジタル化を100%まで引き上げる予定であるとパスワン氏は発言している。
予算1兆3千億ルピー(約2.28兆円)の食料安全保障法がインドの食料安全保障にどう寄与するのか注目である。