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アジア各国で相次ぐ干ばつによる農業被害

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2015年東南・南アジア各国は深刻な干ばつに見舞われ、農業分野に甚大な被害を受けている。

タイでは、今回の干ばつの被害の大きさは20年ぶりだとも、30年ぶりだとも報じられている。水不足のため政府機関は、乾季作(8月頃に作付)の作付を止めるように指示。政府はタイ農業・農業協同組合銀行(BAAC)から600億バーツを拠出し、稲作以外の作付用の短期、もしくは長期借入金に充てる事を発表したが、農業収入が半減するため農家からの不満の声は大きい。
参考:
http://news.thaivisa.com/thailand/angry-thai-farmers-defy-drought-warnings-plant-dry-season-rice/116316/

灌漑整備率が14%と低いインドでは、雨季作の作付すらままならない。米・大豆・綿の収穫減により、貧しい農家の多くが自殺していると現地メディアが報じている。
参考:
http://swarajyamag.com/politics/the-great-indian-drought-circus/
http://www.dailynews.com/general-news/20151012/el-nino-could-help-californias-drought-x2014-but-it-will-make-indias-much-worse

カンボジアも灌漑整備率が23%(コメ作付面積中)と低く、雨季作が大幅に遅れた。本来5月から雨季が来るはずが、本格的に雨が降り始めたのは7月頃からであった。状況を見たFAOはコメ等の農作物の作付時期を遅らせるよう通達をしていた。短い作付期間の結果、収量が低下した他、収穫時期が遅れ、乾季作の作付が困難になった地域も発生している。
参考:
http://www.phnompenhpost.com/post-weekend/when-rain-doesnt-fall
http://www.morningstar.co.jp/msnews/news?rncNo=1615358

インドネシアでも、地元気象庁が例年に比べ乾季が長引いている事を発表。国内最大規模の西ジャワ州では、雨不足による干ばつが6万ヘクタールの農地に影響を与えていると同州は試算している。
参考:
https://www.jakartashimbun.com/free/detail/25859.html

国連によると、太平洋で約410万人の水不足や栄養不足になる。また、HSBCのアジア経済研究主任、フレデリック・ノイマン氏は「今回の深刻な干ばつで2008年のような食糧危機が再来するとは限らないが、コメ価格は無論より高くなる」と予想している。

この干ばつの原因は、エルニーニョ現象だ。エルニーニョ現象は、南米・ペルー沖の太平洋赤道海域で海水温が平年より高くなり、その状態が長期間続く現象だ。この現象よって、雨を降らす積乱雲が通常年より東に発生する結果、北米・南米の西海岸で雨量が増加し、東南・南アジアでは少雨となり干ばつの原因となる。2~7年おきに発生するエルニーニョ現象であるが、今年のエルニーニョ現象は強力で、スーパーエルニーニョとも呼ばれ、過去最大の規模であった1997年レベルを超え、史上最強になるのではないかと言われている。国際的な気象情報会社AccuWeatherの分析家によると、このエルニーニョ現象は通常であれば12月頃から落ち着くが、今年は12月以降も継続するそうだ。

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参考:
http://www.accuweather.com/en/weather-news/asia-fall-forecast-2015-el-nino-typhoons-india-drought/52075743
http://news.thaivisa.com/thailand/angry-thai-farmers-defy-drought-warnings-plant-dry-season-rice/116316/

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