農業専門家によるカンボジアのオーガニック認定の推奨
カンボジアの農業専門家はオーガニック農産物の国家基準設置を提案している。カンボジアの一部ではオーガニックの米や野菜が盛んになりつつあるが、現在のところ公式のオーガニック認定は存在しない。
Cedac(カンボジア農業開発研修センター)の年次会議において、公的認定はオーガニック農産物の市場価値を高め、農業市場の多様化を促すとともに、偽装オーガニック農産物の流通を防止する効果があるだろうとの見解が打ち出された。「農産物がオーガニックだと信用しない人も多い」とCedac所長のヤンサインコマ氏は言う。「しかるべき認定基準があれば消費者の信用を得ることができるし、農家も正真正銘のオーガニックであることを主張できるようになるだろう。」
国家基準により、生産段階で使用される肥料成分など、オーガニックが何を意味するかという定義づけを農家も消費者もしやすくなるだろう。しかしそれには認証が必要となる。農林水産省は現在このようなオーガニック認定に関する提案書を検討中であるが、実施の可否や時期は不明である。
現在、コンポンチュナン、コンポンスプー、シェムリアップ、タケオの4州に、250のオーガニック野菜農家、2,000のオーガニック米農家が存在し、国内市場や欧米に出荷している。タケオ州でオーガニック米および野菜農家を営むイェム・ソバナリー氏(37歳)は、国家基準導入によりカンボジアはアジア全域で市場開拓が可能となると考える。「近隣諸国はオーガニック農業や土壌改良を好む傾向がある。」と彼は言う。「しかし、カンボジアでは政府やNGOのトレーニングが一部みられるものの、国全体としてはまだ準備段階にある。」
オーガニック農産物の栽培を拡大するため、Cedacはプノンペン、トボンクムン、カンポントム、シェムリアップの各州内に8カ所の店舗を開設した。今月中にはプレイベンに新たな市場が開かれる予定である。
農林水産省の農業部門ディレクター、ヘアン・バンホーン氏によれば、同省は現在、より汎用的な農業生産工程管理(Good Agricultural Practice – GAP)の策定に注力し、オーガニック農産物に限らず生産高全体を増やすことを目指している。開発部門はオーガニック促進を支持するが、GAPほどの恩恵は期待できないと同氏は考える。「GAP基準の農産物が健康を害する訳ではないにも関わらず、なぜ科学的根拠に乏しくGAPに比べ正確性も劣るオーガニック農産物に頼る必要があるのか。GAPにより食品の安全性は保証される。それ以上のものが必要だろうか。」
Cedacの環境・健康ディレクター、キエム・マカラディ氏は、オーガニックの国際的トレンドに追随するため、両方の基準策定が同ペースで進められるべきだとする。GAP基準下では化学物質が使用され、タイで生産されたそのような農産物がEUで拒否されたことがあるという。また同氏は、特定の肥料や化学物質を使用された農産物は発がん性などの危険があり得るため、オーガニック農業のトレンドは今後も高まるだろうとした。