COP21の宣言で訴えられたグローバルな農業多様化
地球全体の平均気温の上昇や、異常気象現象の増加による、食料・栄養の安全保障への多大な影響が危惧されるにつれて、農業の多様化についてのグローバルレベルの計画が人類の生存にとって重要なものになってきた。
マレーシアのアブドラ・バダウィ元首相は、パリで行われた気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に科学者や国際機関の代表者を含む50人とともに訪れた。マレーシアが拠点の国際非営利団体、Crops for the Future(CFF)によって始まった農業多様化に関する宣言の署名のためだ。この宣言は今年3月にクアラルンプールでグローバルな農業多様化の施策を実証し、2016年後半にはローマで正式に発表される。公的機関の役員はオンライン上で署名を行うことが可能だ。
「気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)の気象変動についての課題は、3度以上の世界になった時の対応策がない事だ」COP21で目標としている世界の気温上昇を2度未満に抑えるということをを引き合いにして、CFFのSayed Azam-Ali氏は話した。農業多様化の宣言の目的は、大量に生産されている作物を別のものに置き換えるということを提案することではない。地球温暖化の抑制策ではなく、対応策として複数の種類の穀物を生産し、食料安全保障を実現するということだ。
「世界は4つの作物に依存している。トウモロコシ、小麦、コメ、そして大豆だ。だが我々が頼る必要がある作物は60 種類に及ぶ。食料の安全保障は不十分だ。食料と栄養の安全保障は我々にとって必要で、様々な種類の作物を取り入れなければ栄養は保障されない。」と今回の宣言の署名者であり、World Vegetable Centerのジェネラルディレクター、Association of International Research and Development Centers for Agricultureのチェアマンを務めるDyno Keatinge氏は話している。
東南アジアでは、パーム油は支配的なモノカルチャーであり、もし気象変動が授粉を妨げればパーム油の原料であるアブラヤシの収穫に大ダメージとなる。
「評論家はヤシの葉で覆われたプランテーションで生産することができるのはパーム油のみだと言うだろうが、アブラヤシの下で実際に植物が存在している。」とAzam-Ali氏は話している。パーム油とその他の植物を多様化させていくために、Azam-Ali氏はアブラヤシの木の下や間を有効利用することを提案している。CFFはマレーシアのパーム油プラテーションの500万ヘクタールの面積のうち100万ヘクタールが空いたスペースだと算出した。太平洋上のパプアニューギニアやソロモン諸島のような島国では、日陰で生育する野菜がその土地の農業システムで存在し、アブラヤシの木の間でも生育する。
「しかし、どこでその研究を行っているだろうか?」と彼は問う。「アブラヤシの木の間で生育する植物の種類がなんなのかさえ私は知らない。もしそれらの植物が我々に有用なものであるとさえ知らなかったら、どのようにその栽培システムを広めることができるだろうか。だからこそ我々は農産物の多様化について議論しているのだ。」