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室内農業のトレンド、重要な6要素とは

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Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.


 

近年のテクノロジーの成長スピードは著しく、当然ながらそれは2016年も変わることなく、むしろもっと早いスピードで新たなテクノロジーが生まれるかもしれない。それは食品産業や農業におけるテクノロジー(AgTech)に関しても同様のことが言える。

当メディアAGRI in ASIAは始まって間もないメディアだが、その中でも一番人気だった記事は「室内農業に関する3つの大きなチャレンジとは」であった。室内農業とは、植物工場や温室、コンテナ、倉庫の中で水耕栽培技術などを用いて農作物を生産する方法のことを指す。読者の皆さんの室内農業を始めとしたへの期待度の高さを感じられた。

室内農業先進国アメリカでは、AeroFarmsFarmedHereといった数多くのスタートアップが室内農業ビジネスを進めている。AgFunderの今年3月時点での室内農業の潜在マーケット規模としてはおよそ9十億ドルと見積もっているほど、今アメリカでは室内農業が農業の中でもホットな分野なのだ。

今回はそんな成長産業である室内農業の中でも、アメリカでトレンドとなっている6つの要素をご紹介する。

 

1.自動操作

自動種蒔き機や収穫ロボット、温室のルーフウォッシャーなど、室内農業はこれまで自動操作に頼ってきた。そしてこの自動操作が商品の低価格化と高い収穫レベルを実現させるのだ。ただこういったテクノロジーはまだまだ初期段階のものが多い。一方で苗床の苗を再配置させるロボットがすでに販売されているなど、今後も新たなテクノロジー^が次々と登場してくるだろう。あるカナダの研究機関Vineland Research and Innovation Centreでは、マッシュルームの収穫ロボットが試験段階だという。

 

2.ビッグデータ

他の多くの産業と同様に、室内農業もビッグデータの有効活用をスタートさせている。その例がIoT(Internet of Things)や収穫量を最大にしたり生産ロスを防いだりするための予測分析だ。MIT’sCityFARMはOpenAGというプロジェクトを実施し、研究者同士のデータ共有を可能にした。他にもコントロールをより簡単にするものもある。サンフランシスコ・ベイエリア発のスタートアップOsmo Systemsは水耕栽培のモニタリングとアラートのサービスを低価格で提供している。このサービスは7種類のセンサーによるユニットモニターをWiFi接続込みで500ドルで提供する。7種類のセンサーとは、それぞれpH、溶存酸素、水温、水位、気温、湿度、光合成有効放射量を測定する。

 

3.新しい品種

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室内農業ではレタスやホウレンソウ、ケール、ハーブなどの葉物野菜にフォーカスして栽培してきた。というのもこれらは水耕栽培というシステムを用いても栽培が比較的簡単なものだからだ。こういった品種に対するアプローチが変わりつつある。デリケートな作物を保護できたりオフシーズン中も栽培が可能であったりする、室内農業の利点を生かした利益率の高い栽培を行う方向へ変化している。Bright Agrotechは同社のジップタワーという垂直栽培システムで、イチゴから大麦まで全ての作物を栽培することを構想中だという。上の画像はBright Agrotechによるジップ・タワーの模式図だ。

 

4.メガ・ファーム

室内農業というシステムがより効率のよいフードサプライチェーンを集約できるため、こういった企業は大規模な施設を建設して、国内の食品販売業者の要望に応えようとしている。例えばAerofarmsは今年ニュージャージーに世界最大級の垂直栽培施設の建設に着手した。Aerofarmsの話では、従来のようなフィールド栽培の75倍の効率で栽培が可能になるということだ。

 

5.ナノ・ファーム

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スケールの大きいメガ・ファームに対して、小規模農家や消費者をターゲットにした作物を以前から豊富であるが、現在より高性能に栽培が行えるものが登場している。例えばGrove Labsは家庭やレストランなどのキッチンで野菜を育てるためにデザインした、水耕栽培冷蔵庫の提供に成功している。上の画像はGrove Labsの提供する商品のひとつで、LED照明を使って栽培を行う。WiFiセンサーもついていて、作物の健康状態を知ることが可能だ。

 

6.カスタマイズ

室内農業の最大の利点は、レストランのシェフのニーズに合う作物をカスタマイズして栽培することが可能になるという点だ。ニュージーランドのBiolumicは収穫前に紫外線をわずかに照射することで、ある特定のフレーバーを作物に加えることに成功している。

 

2016年はこういったAgTechがますます進化し、また新たなテクノロジーが生まれることになるだろう。室内農業先進国アメリカでこういったビジネスがどこまで発展していくのか、また日本ではどの程度注目されるのか、来年の室内農業のトレンドが興味深い。

 

Link:https://agfundernews.com/six-mega-trends-indoor-agriculture.html?utm_source=AgFunder+Updates&utm_campaign=4dc1744c07-AgFunder_Weekly_Newsletter_Dec24&utm_medium=email&utm_term=0_7b0bb00edf-4dc1744c07-97919293

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