• このエントリーをはてなブックマークに追加

Q&A: 家族のネットワークを使ってアグリテックへ投資…その意味は?

Pocket はてブ

Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.


シンガポール拠点の企業のファミリーオフィスかつクロスボーダーベンチャーキャピタルであるAmasiaでJohn Kim氏はマネージングパートナーである。彼はAmasiaを設立する以前は、マーキュリアエナジーグループ、ゴールドマンサックス、Korean National Investmentsで、日用品から上場/非上場の株式、債権、金融派生商品まで、その取引や投資戦略を指揮してきた。

彼は最近、Amasiaでの彼の責任遂行に際して、そして彼の妻の家族のファミリーオフィス管理をするに当たって、投資先としてアグリテックというセクターを調べ始めた。

そんな彼が、これまでの人生の歩みと、彼独特のアグリテックへ投資する際の資金調達メソッドをここに語ってくれる。

 

Q: いつ頃から食と農業の分野に投資先としての興味を抱かれたのですか?

私は以前ゴールドマンサックスでアジアでの日用品のトレーダーをしており、農業製品のを売買帳簿の管理を担当していました。だから、この領域には親しみがあるんです 。日用品以外の経験はありませんでしたが。

他方で妻の家系は食品加工業としてビジネスを始めました(私は最近その投資ポートフォリオを管理し始めたのですが)。以降、彼女の家族は製薬業、小売業、不動産業にも進出しましたが、農業が常に彼らのビジネスのDNAにあったことは間違いないでしょう。

ただ、Amasiaというクロスボーダーのベンチャーキャピタル(VC)を経営することが私の毎日の仕事で、そちらがむしろ農業というセクターへの関わりを高めてくれました。この会社は半分ファミリーオフィスの特徴を帯びていて、全ての事業パートナーが妻の家族を含めた、アジアにいる家族で構成されています。

私は、家族を含めたパートナー達が従事している農業というセクターに投資しようとすることは間違ってないと思っています。なぜなら彼らの収穫高を向上させたり、はたまた根本から変革するようなテクノロジーが見つかるかもしれないからです。換言すると、コーポレートベンチャーキャピタルと類似して、戦略的価値と投資リターンを同時に追い求めることが大事だと信じています。実際に我々のパートナーを調べてみると、多くが農業関連会社に大きなシェアで株を有していることが判明しました。

 

Q: 既に投資は行われたのですか?

今まさに投資をしようとしているところですが、そのアプローチは既存のVCのものと少し異なっています。

初めてVC業界に入ったとき、投資の仕方で戸惑ったことがありました。過去にいた金融の世界では、最も資金がある者に投資が回ってくるという構図でしたが、VCの世界では、VCがスタートアップにピッチをさせてお金を回す構図です。なので、スタートアップにとっては、いかに有力者を味方につけていわゆるユニコーン(株式市場評価額10億ドル)企業に発展するかが重要になります。

投資家としては、選りすぐりのスタートアップと巡り会うことを確実にするために、どのような価値を提供できるか100%明確にしなくてはなりません。スタートアップ側の投資機会への参入のハードルは低いですが、彼らの質にはだいぶ差があります。

そこで、どうやって最上位のスタートアップにたどり着き、我々が価値を創造できる投資家集団だと分かってもらうか考えた時、ファミリーオフィスの様相を帯びていて、かつアメリカからアジアへと国境を越えたビジネス展開をサポートできる能力という強みが私たちにあることに気づくことになりました。

しかしながら、度重なるリサーチを終え数社と投資のタームシートを作る段階まで至った後でも、我々が最終的にたどり着いた結論は、それらの会社に投資をする以前に、インキュベーションという形で生まれたてのビジネスサポートするというものでした。

 

Q: では、そのインキュベーションはどのようなものなのですか?

投資家の中には、テクノロジーが農業を短中期的に変革するだろうという予測やリターンの弱さに若干失望している人もいるはずです。2013年にClimate CorporationがMonsantoに買収されたような、(数は多くなくとも)規模の大きい事案のことを考えると納得がいきます。

しかし、もう投資をする者として心配する必要性はなくなります。なぜかというと、アジアに世界の有望なスタートアップを紹介し、我々のパートナーである農家に会わすことができるからです。したがって、実際に投資をする前に、具体的にどのようなパートナーシップを彼らの間で築けるか明確にすることが可能となるのです、一つの可能性としては、私たちが彼らの商材を流通させる見返りに何パーセントか収益を分配してもらえることも否定できません。

既に一社、航空写真を扱うアグリテックの会社がこのスキームに乗っています。実際に彼らに私たちの家族に会ってもらって、桁違いに一緒に働くスムーズさを感じることができました。電話を通して働く際と比べてとても直感的になれるので素晴らしいです。アジア側には実際にこのスタートアップとのビジネスに興味があるパートナーがいるので、彼らが躍起立っているところを見ると、とても心地がいいです。この会社自身まだオープンな協議を開いてないので投資には至っていませんが、現時点では将来的に確実に協議ができると思っています。

 

Q: アグリテックの中でも特にどの分野に注目されてますか?

大雑把に言えば、アグリテックは、バイオサイエンス(bioscience)とインテリジェンス主導型テクノロジー(information-driven technologies)の二つのメインカテゴリーに分けることができます。私はバイオサイエンスにも大きなチャンスがあると考えています。ただ、コンピューターの計算能力は18ヶ月毎に二倍になる指数関数的法則が存在と言われる上に、ITの技術を活用すればビジネスのスケールを簡単に大きくできることから、ベンチャーキャピタルのIT産業でのリターンは一般的に、バイオテクノロジー・クリーンテクノロジーよりも成果が出てきたことも事実です。バイオテクノロジーとITが融合する興味深い分野もありますが、基本的にそこでリターンを狙うのは大変な仕事です。

 

Q: なぜ最初のコラボレーション、最初の投資予定先が航空写真撮影の会社だったのですか?

農地を最適化し長期的に利益を増加するためには、農地で何が起こっているか把握する必要があります。それには何通りかの方法があり、土か草木にセンサーをくっつける方法や空中から農地のイメージを撮影する方法があります。それら全てはそれぞれ独立した仕事をしてくれますが、それらを実際に組み合わせて使うことがアグリビジネスには可能です。地上に置くセンサーはある特定の場所から非常に正確に読み取りをすることができのですが、必ずしも農地の全体像をつかむことはできません。センサーと農作物との間で様々なことが起こり得る一方で、画像撮影はその間を埋める俯瞰的な視野を提供してくれます。以上二つの技術の組み合わせは非常に強力になり得るので、私たちはそれを相互補完する技術のポートフォリオを作ることも検討しています。

現時点で他数社のスタートアップともコラボレーションの話が進行中で、今年中に何らかのビジネスを予想していますが、まだ何も確実に言えることはありません。

 

link:

https://agfundernews.com/qa-one-family-offices-approach-to-investing-in-agritech.html

Pocket はてブ