三井住友銀行も農業参入!これまでの参入事例も合わせて紹介
今月15日、三井住友銀行は、秋田県の農業法人の大潟村あきたこまち生産者協会やNECキャピタルソリューション、秋田銀行と共に新たな農業法人を設立し、農業ビジネスに参入することを発表した。現地の農業法人の有するコメ栽培のノウハウと、三井住友銀行の経営ノウハウを融合させ、稲作農業における新たなビジネスモデルを構築したいとしている。
また三井住友銀行は、インドネシアに日本の農業技術や6次化のノウハウをインドネシアに普及させるプロジェクトにも取り組んでいるという。その一環として、秋田県大潟村でのインドネシア人研修生の受け入れやジャカルタでのワークショップの開催、インドネシア国内におけるコメやコメの加工品の市場調査などを行っているとのことだ。
こうした取り組みは三井住友銀行だけにとどまらず、異業種の大企業の農業参入が近年相次いでいる。2009年に農地法が改正され、戦後初めて農地の利用(貸借)が自由化された。その後農業に参入企業は年々増加傾向だ。今年の4月には、この農地法が改正され、役員の農作業従事要件が緩和されたことが今回の場合は大きいとみられる。
TPP(環太平洋経済連携協定)の発効、2年後に迫る減反制度の廃止、さらには担い手不足の問題などから、農地の集約化が今後進むとみられており、その中でも稲作に関してはそれが顕著である。これを「成長機会」と位置づけ、大企業の資本力を生かした農業参入が相次いでいるのだ。またそういった企業の多くが、「グローバル展開」を目標として取り組んでいることには注意すべきだろう。
以下のリンクはAGRI in ASIAでこれまで紹介した、日本の農業以外の分野の大企業による農業参入の記事の一覧である(国外事業も含む)。ぜひこちらもご一読していただきたい。
・沖縄からアジアへ!日立キャピタルがイチゴの生産、販売事業に着手(2016年6月8日配信)
http://agrinasia.com/archives/1850
沖縄でのイチゴ栽培に取り組むという事例。将来的には那覇空港を拠点とした東南アジア進出を目標としている。
・小田急電鉄が農業参入 アジア進出を目論むベンチャーとの連携(2016年2月24日配信)
http://agrinasia.com/archives/1100
こちらは農業法人ではなく、ベンチャー企業との共同でトマト栽培を行う事例。
・富士通、ベトナムでICTを利用したスマートアグリカルチャーを実践(2016年2月19日配信)
http://agrinasia.com/archives/975
富士通のICTの技術を駆使した製品”Akisai”を使用し、実践的に農業に取り組む。ベトナムでショールームまで展開している。
・パナソニックがシンガポールで「植物工場」:独自の技術で食糧生産に貢献(2015年12月12日配信)
http://agrinasia.com/archives/365
こちらは植物工場ビジネス。シンガポールの野菜自給率向上を目指している。
・NEC、カゴメと協業し農業ICTソリューションの実証実験を実施(2015年12月11日配信)
http://agrinasia.com/archives/339
こちらは大企業同士の農業参入。NECの持つ技術力と、カゴメの長年のトマト栽培のノウハウを融合させた形だ。こちらも海外での実証実験を行っている。