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パナソニックがシンガポールで「植物工場」:独自の技術で食糧生産に貢献

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パナソニック ファクトリーソリューションズアジアパシフィック(PFSAP)は、昨年シンガポールで稼働を開始した野菜工場から、シンガポール国内のスーパーマーケットやレストラン、リゾート地への野菜やサラダの提供を開始した。The Veggie Life という名のブランド名で販売を開始し、水菜やフダンソウ、ベビーホウレンソウなどのヨーロッパやアジアの野菜を含む3種類のサラダを提供している。

サラダボックスはひとつ6.90シンガポールドル(約4.8USドル)で販売され、日本の百貨店大手の伊勢丹などでも販売予定とのこと。11月下旬にも現地シンガポールのスーパーマーケットでの販売をスタートさせる。

この野菜工場は昨年7月よりパナソニックが稼働を開始したもので、シンガポール政府が初めて認定した屋内野菜工場だ。グリーンレタス、サニーレタス、水菜、ミニ赤大根、ミニ白大根、ルッコラ、バジル、大葉、三つ葉、ベビーホウレンソウの10種類の野菜の生産を開始した。またこの野菜工場では昨年の稼働開始より、シンガポールで展開するレストラン「大戸屋」に野菜を供給する契約を結んだ。

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パナソニックの環境制御技術と工場運営ノウハウで農業を工業化し、高品質な野菜の安定的な生産を目指した。光の強さ、光の色、温度、湿度、二酸化炭素量などをコントロールすることで、安定的に栽培効率をアップさせた。特に温度に関して、植物工場特有の室内温度が不均一になってしまう問題をパナソニック独自の技術で解決し、工場の隅々まで均質な栽培環境を作り上げた。また蛍光灯より発熱量が少ないLED照明を工場システム取り入れ、野菜が日持ちする効果を高めた。光の波長を制御することにより、味や食感をコントロールすることに成功した。

パナソニックが野菜工場ビジネスを開始した背景として、シンガポールの国土の狭さがある。シンガポールの野菜自給率は8%にとどまる。生産性の高い野菜工場ビジネスを拡大できるチャンスは大きいと見たのだという。

パナソニックはこのビジネスに300万USドルを投じ、来年の年間収穫量を1,000トンまで伸ばす予定だ。敷地も昨年の稼働開始時の77平方メートルから634平方メートルまで拡大。収穫量も昨年の3.6トンから81トンへアップ。栽培する野菜の種類も38種類にまで増えた。

パナソニックはエコと持続可能性を両立するこの農業スタイルで、シンガポールの野菜自給率向上と地元産の野菜生産のサポートに貢献したい考えだ。

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