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フィリピン 総選挙で望む、新たなリーダーの食糧問題への取り組み

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フィリピン人の10人中8人が今年5月に行われる総選挙において、食の安全保障や農家の抱えるニーズを政策として最優先事項に置く候補者に票を投じたいと語った。

これは2015年度Social Weather Surveyの第3四半期における調査でわかったことだ。Social Weather Surveyとは、Social Weather Station (SWS)という現地の調査機関により実施される全国調査であり、SWSは年4回に渡りフィリピンの人々に影響する社会問題の調査報告をしている。

この調査は去年9月2日~5日にかけて1,200人のフィリピン人に対して実施され、総選挙に出馬する候補者の評価を徹底して調べたものである。その質問事項の中に、フィリピンに置かれている国際環境保護団体Greenpeaceによって設けられた、農業に関する項目が二つ含まれていた。回答者に求められたのは、その候補者を選出する理由や、新政府が重視すべき農業における課題といったことに関してであった。

フィリピンは、気候変動に最も脆弱な国の一つとされている。食糧、農業セクターは特に、干ばつや強力な台風といった異常気象に影響を受ける。とりわけ2015年は被害の程度がひどく、ヌエヴァ・エシハ州やパンガシナン州といった主要な稲作地帯が強い台風によって大きな被害を受けた。また果物や野菜を生産する他の州も数ヵ所が、エルニーニョ現象によってもたらされた長期的な乾期に見舞われている。

調査によると、回答者の75%が食糧需給の充足を確約する候補者に投票するとし、また70%の人は環境に優しい農業を推進するような代表者を打ち立てたいとしている。フィリピンは5月11日に、新たな大統領を選出し、議会や地方自治体の議席を決定する国政選挙を控えているのだ。

回答者の44%は、気候変動にも対処するとしている農業生産者に政府が財政援助を施すことが重要だとし、39%が有機農業といった環境に優しい農業実践を支持しているとした。

環境保護団体Greenpeaceに所属し、食糧や農業に関する運動家のVigie Benosa-Llorin氏は、「特に大統領候補者は深刻にその調査結果を受けとめないといけません。なぜならその結果に国の現在の食糧、営農システムに関して、フィリピンの人々がどれ程の懸念を抱いているかが表れているからです。」と指摘した。

彼女は加えて「我々が大統領候補者にはっきりと表明するよう求めているのは、どのように農業生産者を援助し、食糧需給の問題に取り組むか、そしていかに農作を気象に左右されないものに、かつ環境に優しいものにするのかといったことです。」とし、「フィリピンには、政府が自らエコファームの発展や促進を可能にするOrganic Agriculture Actという法律があります。しかし、その法律を施行するにも、政府が取り組まねばならない課題は多く残されているのです。」と強調した。

また、有機栽培を含んだエコファームを推進しているGreenpeaceによると、気象に左右されない営農システムは、フィリピンにおける食糧保障の問題を扱う際に鍵となるのだという。

声明書の中でGreenpeaceは「営農システムに注目することで、土壌や水質、風土が保たれたまま、現代科学やイノベーション、そして自然、生物多様性とが結び付き、健全な農産物が確かなものとなる。エコファームは農薬で環境を汚染することはない上、遺伝子組み換えの作物を栽培することもない。」と説明している。

先月、最高裁判所が遺伝子組み換えナスの野外試験を禁止するという画期的な決定事項を取り上げたこともあり、フィリピンで農業に対する有機的アプローチが高まり始めた。

「有権者が探し求めているのは、単に誇張されただけの公約ではありません。それは健全で、かつ持続可能な食糧、営農システムの実現可能なプログラム及び政策なのです。」とBenosa-Llorin氏は語った。

関連記事:フィリピンの農業セクター 2016年の降水量減少に備える

参考:http://www.eco-business.com/news/filipinos-want-new-leaders-to-take-action-on-food/

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