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世界の昆虫食スタートアップ5選

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前回の記事では、昆虫食に秘められたメリットについてご紹介した。今回はそのメリットにいち早く気づき、立ち上がった海外の昆虫食スタートアップを5社ピックアップした。昆虫食と一口に言っても、様々なスタイルで提供されている。昆虫食ビジネスが秘める大きな可能性に注目していただきたい。

※今回の記事は多くの人に昆虫食スタートアップを知ってほしいため、昆虫の苦手な方にも配慮した画像を使用している。

1. Exo

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Exoはアメリカ・ブラウン大学の学生2人が立ち上げたスタートアップで、今最も注目されている昆虫食スタートアップだ。創始者のGabi Lewis(ガビ・ルイス)氏は、味と栄養の両方を満たす食品が市販されていないことに対し、不満を抱いていた。そんな中、もう一人の創始者のGreg Sewitz(グレッグ・ソウィッツ)氏はMITでの昆虫に関するカンファレンスに参加したことをきっかけに、Exoのアイデアを思いついたのだという。

同社が販売するプロテインバーは、コオロギから高純度のタンパク質を抽出し、精製、粉末化したクリケットフラワーを使用している。現在、ココアナッツ、バナナブレッド、アップルシナモン、ブルーベリーバニラ、ピーナツバター&ゼリー、バーベキュー、マンゴーカレー、オリーブ8種類のフレーバーのプロテインバーが販売されている。1つのプロテインバーにはコオロギ25匹が使用されている。

今年すでに400万ドルの資金調達を終えており、資金はアメリカ国内におけるExoのプレゼンス向上、生産拡大、プロダクトラインの拡充に充てられるという。アスリートなどからの評判は上々で、今後は昆虫食に馴染みのないアメリカの一般消費者に対しどのようにアプローチしていくかが鍵になるだろう。また日本の電通が運用するベンチャーファンドの電通ベンチャーズも出資している

そしてExoは近日中に日本上陸を果たす予定とのことだ。詳しくはこちらをご覧いただきたい。

Exoの紹介動画はこちら(英語)

 

 

2. Six Foods

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Six Foodsもアメリカ発の昆虫食スタートアップだ。ハーバード大の2人の女子学生が2013年に創業した。Six FoodsのSixとは「コオロギの足の本数」を意味しているとのことで、こちらも原料はコオロギの粉末となっている。そのコオロギの粉末を使ったクリケットチップス「CHIRPS」を販売している。こちらの写真のように、本当にスナック感覚で食べられるもののようだ。

 

 

ExoもSix Foodsもコオロギの栄養価の高さと環境面で非常にサステナブルな点を消費者にアピールしている。コオロギは牛肉に比べてタンパク質の割合が高く、脂肪分の割合が低い。また9種類の必須アミノ酸が摂取できる。また同じ重さのコオロギと肉牛を育てる場合、コオロギの方が肉牛よりも2000倍もの節水が達成できるとのことだ。

 

3. Critter Bitters

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引用:http://www.instash.com

Critter Bittersはこれまでとは打って変わって、コオロギから抽出したエッセンスを製造するスタートアップだ。このエッセンスを数滴カクテルに加え、味を変化させる。マンハッタンやオールド・ファッションドといったクラシックなカクテルにビターなテイストを加えたい時にちょうどいいとのこと。

Critter Bittersはニューヨークの2人のデザイナーが創業した。この食品で世界を救うというビジョンがあるわけではなく、「昆虫を食す」ことの心理的なハードルを越えることをミッションとしているとのこと。現在プレオーダーを実施中だ。

 

4. Entomo Farms(カナダ)

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Entomo Farmsもコオロギを原料とした食品を販売するカナダのスタートアップだ。ちなみに”Entomo”とは、「昆虫食」を意味する単語”entomophagy”に由来する。同社の商品はカナダとアメリカのオーガニックフードショップや、オンラインショップで販売されている。

注目すべきなのは、販売している商品の種類だろう。ローストしたコオロギをはじめ、ペットフードや家畜の飼料、魚の養殖に用いられる飼料なども販売されている。新興国では水産物の消費量が増えていることもあり、近年、養殖飼料(魚粉など)の価格が高騰している。昆虫食ビジネスはこうしたニーズにも応えることができそうだ。

 

5. ENTOMO FARM(フランス)

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ENTOMO FARMは先ほど紹介したEntomo Farmsに名前が非常に似ているが、こちらはフランスのスタートアップだ。

ENTOMO FARMの特徴は、世界初の昆虫養殖(インセクトファーミング)施設のメーカーであるということだ。その工業的な昆虫養殖のシステムは、2014年に特許を取得しているほど。(1)高い収量(2)省エネルギー(3)トレーサビリティーと品質の保証の3つのポイントをアピールしている。カスタムメイドの工場型の施設と、コンテナ内に設備を導入する2種類の方法を取り扱っている。

いかがでしたか?

今回は全てコオロギを原料とした食品を製造・販売するスタートアップだったが、プロジェクトベースではこのほかにも多くの種類の昆虫食が開発されており、今後は奇をてらった商品が登場するかもしれない。だが、こうした先進国でのスタートアップの場合、いかに心理的なハードルを下げるかがポイントであるような気がする。昆虫食の栄養面や環境面といった本質的なメリットを、いかに昆虫に慣れていない消費者に理解してもらえるかが鍵となるのではないだろうか。

 

トップ画像引用:http://www.critter-bitters.com/

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