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世界中で20億ドル以上の投資を集めるAgTechとは

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AgTech。この言葉、聞き慣れない方も多いだろう。Agriculture Technologyの略で、農業分野のスタートアップの事を指す。日本ではあまり聞かないこの分野、世界では大きな注目を集めている事をご存知だろうか。昨年2014年、このAgTechの分野で23億ドル近くの投資が実施された。これは、他に注目される分野のFinTech(金融関係テクノロジ)の21億ドルやCleanTech(環境非汚染/浄化テクノロジ)の20億ドルよりも大きな金額だ。更にこの投資額は継続的に伸びており、14年は昨年比75%増、15年は7月時点で20億以上の投資が実施されており、昨年14年の倍の投資が予測されている。(AgFunder講演より)

このAgTechの領域には、13年にMonsantに約1,000億ドルで買収をされたClimate CorporationをはじめとしたFarmLogs等の圃場管理アプリの企業から、Instacartといった食品デリバリー、人工肉を作る事を目的としたImpossible Foodといったバイオ企業まで幅広く含まれる。

インキュベーションの体制もアメリカを中心に整ってきており、昨年末にはGoogleの創始者であるエリック・シュミットが経営陣として参画するイニシアティブ「Farms2050」が創設された。

さて、このAgTechはなぜここまで注目を集めているのだろうか。米国のAgTechを対象とする投資企業AgFunderによると、下記の3つのトレンドの相乗効果が同分野への関心を高める影響となっているそうだ。

①マクロ経済の変化
世界的な人口増・経済成長による需要増加に対して供給量が追いつかず農業の需給バランスが崩れている

②消費者嗜好の変化
健康や環境負荷への関心が高まった結果、科学物質の利用が少ない作物を求めるようになってきた

③テクノロジーの変化
スマートフォン、IoT(物のインターネット化)、ドローン、衛生データ等のテクノロジーの進歩により、オフィスの外にある農業の現場にもテクノロジーが入り込む事が可能になった

* 各変化について、今後別記事において深掘っていく予定だ。

世界的に多くの注目と投資を集めているAgTech。
1960年代の緑の革命以降、半世紀の間イノベーションが生じなかった農業という産業で、どこれからどんなイノベーションが生まれ、どの企業が成功するのか。まだどの企業も手探りといった状態ではあるものの、今後10年20年で大きな変化が起こる事は間違いないだろう。

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