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アメリカ 農業におけるビッグデータ活用

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農業保全と天然資源政策の専門家、Megan Stubbs氏による米国議会調査局での報告だ。

農業ビッグデータが意味するものとは

将来における食料生産の増加、そして持続可能な農業への鍵として、最近のメディア報道や産業レポートではビッグデータという用語が使われている。聞くところによると、農業分野でのまだ知られていないビッグデータの要素に関して、議会はその潜在的可能性や問題点に非常に関心を抱いているようだ。大きな関心が寄せられているビッグデータだが、その主要な部分については複雑で、誤解されていることも多い。農業の分野においては特にそうだ。

ビッグデータという用語に共通で認識されている定義はない。それは現代の傾向を述べる際に多く用いられるが、その傾向の特徴としてテクノロジーと発達した分析論とが結び付き、より便利で時代に即した、新たな情報処理の方法が日々創出されている。言い換えると、ビッグデータとはデータそのものを指す場合もあるが、新たなデータ処理法についても同様に多くを意味しているのだ。それは動的なもので、かつ分析することにより、判断を決定する過程で有益なツールを提供してくれる。

つまるところ、生産者が正確なツールを用いて、収穫高の増加、農薬の使用減少、持続可能性のさらなる高まりといった好ましい結果をもたらしたいとする場合に、ビッグデータは利用されるだろうというのが大方の見方だ。確かにこれは議論の余地ある非常に興味深い部分ではあるが、ビッグデータには様々な側面があり、必ずしも一つの全体像を示すとは限らない。

公的利用と私的利用のビッグデータ

生産者が理論に基づいた決定を促す際のテクノロジーや解析法に、公的利用及び私的利用の両面からそれは主な役割を果たす。

公的に利用されるビッグデータとは、公的に設置されたデータソース、特に連邦機関によるもの(例えば、農業計画関係者の記録や、気象データ等)を通じて収集、管理、分析された記録データのことを指している。

私的利用では、生産段階で収集されたデータ(収穫高、土壌分析、灌漑レベル、家畜動向、放牧率等)を指しており、それらは農家や牧場経営者によるものだ。私的及び公的なビッグデータは概して共に結び付き、農業を操業していく上でさらに完全な予想図を創り出すのだ。従ってビッグデータはより有益な意思決定ツールとなり得るのである。

ビッグデータが及ぼす農業への影響

ビッグデータは農業の多くの面に大きな影響を及ぼすと考えられるが、その最終的な影響力の全容や本質は不透明なままだ。評論家の多くは、ビッグデータの利用が拡大すると、生産性の増加、資源の効率化、気候変動に対する適応性の向上等を通じてプラスとなる利益がもたらされるだろうと見ている。

その革新的な応用可能性は称賛に値するが、一方でいくつもの課題も残されている。政策的な観点から見ると、ビッグデータに関連する課題とは、それ自体を処理するほぼ全ての段階に関わることであり、データの収集(いかに捕捉するか)、管理(いかに蓄積、管理するか)、そして使用(いかに分析し、用いるか)といったことが含まれる。

生産者や政策立案者にとってはプライバシーやセキュリティーといった技術的、政策的な問題点があるがゆえに、農業分野においてビッグデータがどのように発展していくかは未だ明らかでない。議会がこういった問題を進めていくにつれて、多くの疑問が生じる可能性もある。そこには最も重要な、連邦政府の役割とは何かといったことも含まれているのではないだろうか。

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参考:http://thegovlab.org/big-data-in-u-s-agriculture/

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