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JA全農、ブラジル穀物大手に50億円以上の規模で出資

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JA全農は今月17日、ブラジルの穀物集荷・輸出事業大手であるALDC社への出資を決定したと発表した。

ALDC社は、ブラジル資本最大の穀物集荷・販売業者であるアマッジ社と、4大穀物メジャーのひとつであるドレファスのブラジル法人であるドレファス・ブラジル社の2社により2009年に設立された合弁会社。マラニョン州イタキ港に穀物輸出エレベーターを所有し、またブラジル北東部の穀物産地であるMAPITOBAエリアに6箇所の内陸穀物集荷倉庫を保有し、穀物集荷・輸出事業を展開している。MAPITOBAエリアについては以下の関連記事を参照していただきたい。

関連記事:【特集】ブラジル農業の鍵を握る穀物物流の裏側と、総合商社の取り組み

今回の出資は、アマッジ社とドレファス・ブラジル社の現行2株主より16.667%ずつ、合計33.333%の株式を全農が取得する。すなわち全農、アマッジ社、ドレファス・ブラジル社の3社がそれぞれ株式の3分の1を保有することとなる。ロイター通信は昨年5月の時点で、ドレファス社が株式の一部を売却する意思があることを報じていた。また、日経新聞は今回の全農の出資額を50~90億円になるもようだと報じている。現在、全農はブラジルなどの関係当局の承認手続きを進めており、承認完了後に出資が完了する。

現在日本の飼料穀物(大豆・トウモロコシ)はほとんどが輸入で賄われており、主な輸入先国はアメリカ、オーストラリア、カナダ、アルゼンチンだ。そんな中、穀物生産の成長が著しいブラジルに注目が集まっている。ブラジルは中国の大豆輸入量の約50%を占めているなど、今後のアジアにおいてますます重要度が高い存在になると考えられる。今回の全農の出資の主な目的は、飼料穀物産地の分散による日本国内への安定供給、そして、中国、東南アジアへの輸出拡大とみられる。日本国内需要の停滞に伴い、全農の収益基盤が脅かされる中、収益性を担保するための良い案件だと言えそうだ。

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