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飢餓・食料安全などの国際課題に挑戦するグローバル・アグリビジネス・アライアンスとは?

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あなたの勤める会社はどのように社会貢献をしていますか

どの企業のホームページを見てもCSRという項目を目にする。CSRとは企業が行う社会への貢献活動や環境への取り組みのことだ。

例えば、大企業トヨタは子どもたちに交通安全教室を開くほか、自然体験を通した環境教育などを行う。また、同業大手の日産も独自に交通安全や環境保全の啓発活動を行っている。

このように、たいていCSR活動は各々の企業が単独で行っている。

しかし、最近アジア各国の民間企業が国境を超えて協力し合い、CSR活動をしようと動き始めた。その目的とは一体何なのだろうか。

グローバル・アグリビジネス・アライアンス(GAA)

2016年9月、シンガポールの大手農産物商社オラム・インターナショナルが、25周年を記念して「持続可能な未来を築くフォーラム」を開催した。そこで発表されたのがグローバル・アグリビジネス・アライアンス(GAA)の設立だ。

このアライアンスではアジア諸国の農業関連大手を中心に36社が連携する。例えば、ウィルマー・インターナショナル(シンガポール:パーム油大手)、サイム・ダービー(マレーシア:農園、不動産などの複合企業)、ヴォン・ブンディット(タイ:天然ゴム大手)だ。アジア以外にもトルコや南アフリカの食品メーカー等が参加する。日本からは昨年オラムと食品原料販売の合併会社を設立した三菱商事が参加している。

これらの民間企業が一つになって取り組もうとしているのが国連の持続可能な開発目標(SDGs)だ。

国連の開発目標

2000年9月、国連は極度の貧困と飢餓を根絶するためにミレニアム開発目標(MDGs)を設定した。2015年までの目標達成に向け、国連などの各団体は活動を行ったが、世界の貧困問題は未だ解決されていない。この反省を踏まえて新たに設定されたのが持続可能な開発目標(SDGs)だ。

SDGsには8項目の目標がある。GAAはその中でも特に2つ目の目標達成に集中して取り組む。

目標2:飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する。

国際連合食糧機関(FAO)によれば、世界には20億人以上の農業従事者がいる。そのうちおよそ7億9500万人が栄養不良に苦しみ、その半分が干ばつや洪水などの自然災害の起こりやすい地域で生活している。

国連や政府だけでは解決しきれないこの問題を解決するために民間企業による活動に期待がかかる。

競争の激しい分野での協力という革新的アライアンス

昨今、農業ビジネスはますます競争が激しくなっている。そのため、企業が本当に技術やノウハウを提供し合えるのかどうか疑問に思うものもいるとオラム・インターナショナルのCEOサニー・ベルギス氏は言う。

しかし、農業は利益を生み出すまでに長期間かかり、また、農産物の価格は常に不安定だ。そうした特徴のあるアグリビジネスでは他企業と協力して技術基盤を確立することが必要となってくる。

GAAは、競争が激しいアグリ分野で、SDGs達成に向けて各企業が協力するという点で革新的だ。参加企業は農業従事者の暮らしや労働条件を改善し、自然災害リスクの緩和や持続可能な自然資源を管理するために協力していく。

参考:http://www.eco-business.com/news/new-agri-business-alliance-to-tackle-hunger-and-food-security/

 

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