オランダ-タイのネットワークで、酪農の生産性向上を目指す
世界的に酪農業に従事する人口は減少している。そしてタイにおいても同じような状況だとタイの新聞は伝えている。
リスクマネジメントを行いビジネスをサステナブルなものにするため、タイで乳製品の生産・販売を行う大手で、オランダ資本のFrieslandCampina社は、若い農家にとって魅力的に見えるよう、家畜の基準の改善と地域農家のクオリティを向上させることを目指している。
「ヨーロッパの国々の酪農業は、タイ同様に労働人口の減少に直面している。ここ数年は、酪農従事者人口が毎年10%ずつ減少している。タイの場合、重労働にも関わらず収入が低いため、後継ぎがいない状況になってしまっている。」とFrieslandCampinaのマネージングディレクターのMarco Bertacca氏は話す。
需要の増大に応え、酪農業をサステナブルなものにし、さらに酪農従事者のQOL(Quality of Life)を上げていくため、FrieslandCampinaはオランダ農家とタイ農家のネットワークを構築してナレッジの共有ができるようにしている。
このストラテジーのもと、タイのFrieslandCampinaは3つの鍵となる課題にフォーカスしている。1つ目は高品質で栄養価の高い牛乳の生産、2つ目は酪農従事者のネットワークの質の向上、そして3つ目は廃棄物を減らすなどといった環境問題に対する積極的なアクションの促進だ。
オランダの親会社から発達したテクノロジーを持ってきて、高品質の牛乳を消費者に提供するだけではなく、オランダとタイのコネクションを構築し、スキルやナレッジを共有することにトライしているとのことだ。
この戦略に基づき、同社は”Dairy Development Programme(DDP)”というプログラムを行い、牛乳のクオリティの向上、そしてタイの酪農従事者の賃金向上を進めている。
Bertacca氏は、DDPのもと「Farms to Farmers(農地から農家へ)」という活動を2013年から始め、オランダ農家とタイの農家との経験を共有できるようにしている。タイではすでに5500以上の農家がこのDDPプログラムに参加している。加えて、同社はタイ国内の酪農従事者のネットワークを構築し、4000以上の農家がトレーニングプログラムに参加している。
こうした努力もあり、タイのFrieslandCampinaは1日360トンの生乳を今年はメンバー農家から買い上げることができるとの見込みを示した。昨年の平均は1日340トンであった。またタイ農家の賃金がアップするとが可能になると彼は話した。
「このアプローチを通じて、我々は若い世代が酪農の重要性を感じるものと強く思っている。そして人生におけるよりよいチャンスを提供することができる。」
同社は毎年10億バーツ(約31億円)の投資を、成長マーケットで質の高い牛乳を生産、販売するためと同様に、生産能力と効率の改善のために行っているということに注目すべきだろう。