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キューバとアメリカの国交回復、懸念されるキューバの”アグロエコロジー”崩壊

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先日のオバマ大統領の訪問で話題となっているキューバ。この訪問がキューバとアメリカの関係性を深めることは間違いない。今回の国交回復がアメリカ企業の投資意欲を掻き立て、キューバ経済を明るくしていくだろう。両国の国民の多くがそう思っている。

しかし、農業に関して言えば、それはキューバに悪い影響を与えるかもしれない。

キューバ農業を特徴付ける”アグロエコロジー”

キューバ農業の中心はもともと大規模なサトウキビの単一栽培、いわゆるモノカルチャーであった。しかし1990年代初頭まで経済的パートナーであったソ連の解体に伴い、貿易が崩壊。石油や農業資材が十分に国内に入らず、キューバは「アグロエコロジー(Agroecology)」というアプローチに踏み切るしかなかったのである。

アグロエコロジーとは、1970年代後半にラテンアメリカで発達した農法のことだ。技術集約型で、環境を破壊する工業的かつ近代的農業とは対照的な方法で、小規模農家が持続的に栽培を行う手法である。冷戦終戦後、こうした方法でキューバ農業は発達してきたため、世界の中でも有数のサステナブルかつエコロジカルな農業を営む国として知られている。

しかしアメリカのアグリビジネス企業が慎重にキューバ農業をマネジメントできなければ、キューバの農業は機械化された大規模農業や遺伝子組換え作物、農薬に頼る農業へと逆戻りしてしまう可能性がある。

オバマ大統領は、キューバがアメリカビジネスに対して門戸を開くことを望んでいる。先日オバマ大統領が訪問した首都ハバナでは、アメリカの農務長官であるTom Vilsack氏が今後キューバ側と意見交換を促進し、リサーチを進めていくことで合意した。

「アメリカの生産者らはキューバ国内の健康的で、安全で、栄養価の高い食品のニーズに応えたいと強く思っています。」とVilsack氏は話した。2014年にはアメリカとキューバの間で農業に関する連携協定が結ばれ、アメリカとキューバの間で貿易が再開。100以上のアグリビジネス企業が進出した。アナリストの分析結果によれば、現在ある規制が緩和され、貿易障壁が解除されれば、アメリカからのキューバへの貿易輸出額は12億ドルに達すると見込まれている。アメリカのアグリビジネス企業にとっては、なんとしても掴みたいマーケットだ。

米アグリビジネスがキューバ農業の何を破壊するのか

アグリビジネスが途上国に投資をする際、企業は経済規模を追求する。投資をすることで、数社の企業が土地を集約し、小規模農家の生産システムを画一化することができる。一方、小規模農家は自分の持つ土地を手放さなければならず、ローカルな作物や伝統的な栽培方法が消えてしまう。1990年代からのブラジルやパラグアイ、ボリビアでの遺伝子組み換え作物栽培やバイオ燃料の発達は、まさにこういった経緯を辿っている。

アメリカの工業化された農業がキューバで広がった場合、30万人以上のアグロエコロジカルのな小規模農家によって、農家同士で知識を共有し、数十年にも渡って構築された複雑な社会ネットワークが破壊される恐れがある。

これはキューバ産の農作物の多様性を減らし、地域経済やフードセキュリティーを脅かすことになる。大規模なアグリビジネス企業が小規模農家を淘汰すれば、農業は輸出型作物の生産が中心となり、そして失業者が増加する。

EUやブラジルなどで不振にあえぐアメリカ企業がキューバでマーケットシェアを獲得したいと考えている一方で、実はキューバのアグロエコロジカルな生産方法には、いまよりもさらなるポテンシャルを持っているようだ。600万ヘクタールの平地と100万ヘクタールの傾斜地を有するキューバの農地には、1100万人に食料を供給するだけの余力があるという。そしてそのうち半分以上は耕作されていない状態か、生産性の低い栽培を行っている。

キューバのアグロエコロジカルな農業を営む小規模農家は、国の農地のうちたった25%で、国全体の食料の65%をまかなっている。キューバのこうした生産方法は、まさに国の重要な遺産なのである。

参考:https://newrepublic.com/article/132055/cubas-sustainable-agriculture-risk-us-cuba-relations-thaw

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