イスラエル農業テクノロジースタートアップのSaturasが100万ドルの資金調達
Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.
イスラエルに拠点を置く農業テクノロジースタートアップのSaturas(サトゥラス)が100万ドルの資金を調達した。資金は、永年作物のための精密灌漑センサーテクノロジーの開発費などに充てられる。今回の資金調達は、2013年のスタートアップの際にイスラエルのインキュベーター The Trendlines Group から資金を調達して以来、二回目の資金調達となる。
Saturasの精密灌漑センサーはミニチュアのセンサーとワイヤレスな送信機によって構成されており、Stem Water Potential (SWP) を測定することができる。SWP とは植物の水分状態を最も正確に表すといわれている指数であり、精密灌漑には必要な指数である。しかし、今まではSWPを測定するためには人が自ら作業をせねばならず、測定に高い費用がかかっていた。
「このラウンドはSaturasにとって大きな一歩である。プロトタイプを開発し、新しい技術のコンセプトを証明した今、この資金調達によって技術の開発を次のステージに進めることができる。この資金調達のおかげで、精密灌漑センサーを2018年に商品化するという目標に我々は一歩近づいた。」とSaturasの CEO アナ・ハルゴア・ソロモン(Anat Halgoa Solomon)氏は AgFunderNews に語った。
投資ラウンドには既存の投資家と新しい投資家の両方が参加した。
新しく加わった投資家には、ベテランバンカーの Sholomo Nehama 、テクノロジーベンチャーキャピタルの Gefen Capital、そして、イスラエルの農家たちによって構成されており、Amir Supply と呼ばれる補助金を通してイスラエルの農業に貢献するようなテクノロジーに投資をしているFarmer’s Federation of Israel などが挙げられる。
既存の投資家には、The Trendlines Group、Migal Galiee Research Institution、元政治家である弁護士の Dr. Noshe Meronなどが挙げられる。
そもそも、イスラエルはアメリカに次いで世界で二番目に AgTech の イノベーションが盛んな地域である。全世界にあるAgTech 関連のスタートアップに対する昨年の投資額は合計で4600万ドルであったが、イスラエルの AgTech 関連のスタートアップはそのうち550万ドルを獲得した。これは2400万ドルを獲得したアメリカのAgTech関連のスタートアップに次いで大きい額である。
Saturas によると、このセンサーは世界で唯一、木の幹に直接取り付けるため、木/植物の水分状態を正確に測定するこができる。センサーを木の幹に直接取り付けることによって、センサーを土や葉や枝に取り付ける時に生じる誤差をなくすことができるとのことである。
Saturas のセンサーが提供する正確なデータを元に灌漑施設を利用すれば、利用量と利用時間の両方がより的確になり、収穫量と作物の質の両方が向上する。Saturas によると、センサーを用いれば、収入は20%増加するうえ、水の消費量も10~20%抑えることができると予想している。また、Saturas は灌漑施設を用いる果樹園、ワイナリー、綿農園の市場規模は年間1000万ドルと推定している。
Saturas は調達した100万ドルをセンサーの開発の他に、βテスティングに用いて、市場の開拓を狙う。
「次の一年でプロトタイプを最大限生かすつもりである。プロトタイプを多種多用の作物に試してみて、よい結果を得たいと考えている。試験運用の結果をもとに、我々のセンサーが低コストで作物の正確な水分状態を測定することができることを証明したい。」とソロモン氏は語る。