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WTO閣僚会議 −ナイロビ・パッケージ−

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昨年12月にケニアの首都ナイロビで開催された第10回WTO閣僚会議で決定された農業に関する6つの事項を紹介する。

① 農業分野の輸出補助金の撤廃

先進国が農業分野の輸出補助金を直ちに撤廃することが決定された。また、途上国も原則2018年までには農業分野の輸出補助金を撤廃する。しかし輸出の際のマーケティングと輸送費に関しては、2023年まで補助を続けることが途上国には許される。

また、ナイロビ・パッケージの特徴として、直接的な輸出補助金が禁止されたただけではなく、農業分野の輸出を間接的に補助するような政策も禁止されたことがあげられる。一つ目に、農業分野の輸出者が金融サービスへ優遇してアクセスできるようにする政策が制限された。次に、農業分野の輸出への国営企業の参画も禁止された。また、食糧援助が被援助国の農業にネガティブな影響を与えないことを保証する規律も定められた。

② 途上国政府による公的備蓄の許可の継続

途上国は食料安全保障を確保するため、公的備蓄として自国の農家から農作物を買い上げ貯蓄することを許可することが2013年に開かれたバリ閣僚会議で決定された。しかし同時に、公的備蓄のためとはいえ自国の農家から買い上げることは農家の補助の一種にあたるとされ、WTOが定める輸出競争の平等化に反しており新たな解決策が求められていた。

そのような中であったが、第10回閣僚会議では、次回閣僚会議で食料安全保障を確保についての話し合いが行われる2017年までは公的備蓄のための食糧買上政策の継続を許可することが決定された。

③ 緊急輸入制限(Special Safeguard Mechanism)の許可の継続

自国の農産業に多大な悪影響を及ぼすほど輸入品が急増した場合、途上国は緊急輸入制限を用いて、輸入関税を一時的に引き上げることが引き続き許可されることが決定された。

④ 綿花に関する決定

後発開発途上国(LDCs: Least developed country)にとっての綿花産業の重要性を認識し、綿花産業に関して三つの決定がされた。

マーケット・アクセス

2016年1月1日から、LDCsの綿花にはどのような関税もクオータを課すことができなくなった。つまりLDCsの綿花は自由に先進国のマーケットにアクセスすることができるようになった。

国内補助に関して

LDCsが自国の綿花産業を強化するための政策を打ち出す余地が依然としてあることが指摘された。

輸出の補助について

先進国は綿花の輸出に補助金を出すことを直ちに止めなければならない。途上国はいずれ(未定)輸出の補助金を止めなければならない。

⑤ LDC原産地特恵

LDC原産地特恵に関しては、ナイロビでの決定はバリでの決定を強化する形となっている。バリでLDCsの輸出物が特別な待遇を受けることが規定された。具体的には、LDCsの産品であると証明された場合は通常より低い関税が適応される。

ナイロビでは、具体的にどういった産品をLDCs原産であると規定するか話し合われた。その結果、最終生産物の75%まではLDCs以外の国が原産のもので製造されていても、最終生産物はLDCs原産であると規定することが決定された。

また原産地証明の手続きの簡略化についても話し合われた。

⑥ LDCサービスウェーバーに関する規定の延長

2011年の第8回閣僚会議で、LDCのサービス貿易を促進するため、先進国がウェーバーを採用することが決定された。採用期間は2026年までとされた。

ナイロビではウェーバーの採用期間が2030年までに延長された。

参考:https://www.wto.org/english/news_e/news15_e/mc10_19dec15_e.htm

 

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