高品質生鮮食品サプライヤーが活用する3つの農業技術

2016年3月2日2016年12月11日 yusuke.saito AgTech, テクノロジー, 人工衛星, 食品

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Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.

今週、オックスフォード農業会議において、Waitroseなどのイギリスを代表するスーパーへ青果物を販売するある会社の社長が、自らの会社で行った改革を発表した。

Barfoots of Botleyはイギリス、スペイン、セネガル、ペルーで生産される様々な外来の野菜や果物を栽培、加工、出荷している。たとえば、トウモロコシ、バターナッツカボチャ、アスパラガス、サツマイモ、唐辛子、豆類、ピーナッツ、そして玉ねぎなどがある。

この会社のイギリスでの農園は6500エーカー（約2630ヘクタール）の借り地に広がっており、多くの農家が代わる代わる作業をしている。また、これらの農園はエネルギー供給の面で完全に自給自足を達成している。廃棄物を加工し、嫌気性消火装置に詰め込み、結果的に作物の肥料のための栄養素を生み出すのだ。しかし、同社の技術的革新はこの程度ではなく、それらの技術的革新はスペイン、セネガル、ペルーの農園でも行われている。

同社は「消費者が求めるものを提供しながらも、競争力を維持し、環境への影響を減らし、持続性を強化する」という計画の一環として最近になって30個の改革案を実行している、と社長のJulian Marks氏は述べている。

「我々が多くの案を実行に移している中で、日々変化する科学や技術の中でどれを用いるかを決めることは今日難問となっている。それらのうちいくつかは成功し、いくつかは失敗するのだ」とMarks氏は述べている。

Marks氏が発表した、すでに成果をあげている3つの技術を紹介する。

人工衛星主導の機械式農業

機械制御による農業は、農業機械の重さや往復による土壌へのダメージを減らす方法である。その一方、その方法は燃料の使用の増加、収穫量の減少、土地の機能の低下などの結果ももたらす。

人工衛星に基づいたシステムでトラクターを効率よく、そして正確に操作することによって、以下のような、よい結果が得られた。

ディーゼル車の使用が15%落ちた。
雨水が土地からより早く流れ出るようになった。
人工肥料の使用が30％減った。
土壌圧縮が大幅に削減された。

この技術を使う際の問題として、契約をしている農家たちと緊密に協力していく必要があることだとMarks氏は語る。

空調調整された船舶輸送

イギリスが冬の間にペルーからイギリスに空輸されたアスパラガスのカーボンフットプリントを踏まえて、同社は代わりに16日間の船舶輸送を検討した。5万トンのアスパラガスの入ったコンテナを新鮮な状態でイギリスに到着させるために、空調制御の技術の開発に乗り出した。

コンテナ内の通信ソフトによりいつでもコンテナ内を監視でき、船の位置が精確にわかるようになった。そしてさらに、コンテナ内の温度上昇などといった問題に対処することが可能になったのだ。

その結果、同社は高品質のアスパラガスを栽培するためにペルー人農家と働きながら、輸送過程をよりよくし、長い船舶輸送でもイギリスに新鮮なアスパラガスを提供できるようになったのだ。

Marks氏によると、イギリスでの商売のためにペルーでアスパラガスを栽培することによるカーボンフットプリントはイギリス本国で栽培するよりも低い値となっている。同じ量の化学物質を使ったとして、ペルーの気候のもとでは1エーカーあたりのアスパラガスの生産量がイギリスの15~20倍多くなっている。化学薬品が炭素排出の大きな一因となっているため、搬送による排出量を勘案したとしても、ペルーでアスパラガスを育てたほうが遥かに効率がよい。