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AgTechの次なる舞台は東南アジアか?

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AgTech(Agriculture+Technology)のビジネスが、有利な状況となりつつあるようだ。

2014年には、合計で2.36十億USドルがグローバルなAgTechビジネスに投資されたと、AgTechクラウドファウンディングサイトのAgFunderが伝えている。日本では2015年にはFinTechビジネスが大きく注目されたが、世界ではAgTechとFinTechが同一視されているのだ。

2015年、AgTechの勢いは開花した。AgFunderの2015年中間レポートによれば、グローバルなAgTechの投資はすでに2.06十億USドルがヒットしたという。

そのレポートでは、AgTechを広い意味で定義している。単に栽培に関わる企業だけでなく、食品加工やバイオ燃料、化学、医薬、材料を扱う企業まで多岐にわたる。また流通や輸送、リテールサービスといったフードバリューチェーンに関わる企業も対象だ。

そのレポートの中で最も投資を受けたと報告されている業種は、商品を新しい形で消費者に届けるeコマース分野だという。2番目は水に関連したビジネス。3番目はドローンや人工衛星、センサーなどの精密機器からのビッグデータを農業に有効活用する、精密農業の分野だ。

 

中国とインドのベンチャーの台頭

中国とインドの企業がグローバルなAgTechへの投資を受けたことで話題になった。中国からはXAircraft(ドローン)やYummy77fruitday(いずれも生鮮食品eコマースサイト)の3つの企業が投資額ランキングの上位20社に入った。インドのSkymetは気象情報を伝える企業だ。

AgFunder-Report-2014-Agtech-in-Southeast-Asia

Agtechにおける投資額ランキングTop20社 Source: AgTech Investing Report 2014

AgFunderのCEO・Rob Leclerc氏は、今まで東南アジアのAgTech業界では1社しか注目してこなかった。その企業とは、フードデリバリーのスタートアップ・HappyFreshだ。同社は今年の2015年初旬にシリーズAの資金調達を行った。調達額は非公開であった。そして先日12百万ドルの追加の資金調達を行った。

しかしながらシンガポールのRedmartのようなHappyFreshの競合の存在を見落としていた。Redmartは2014年にすでにシリーズBの巨額の資金調達を行っており、ランキングに名乗りを上げるべきであった。

 

東南アジアAgTechスタートアップ、スケールアップの可能性

東南アジアのAgTechスタートアップには十分な投資を受けていない企業が多いことを受けて、AgFunderのレポートでは2つの要因を指摘している。

1つ目は投資家がAgTechという大きな機会を見落としているということだ。もしかしたらマーケットがまだ成熟していない、地域が断片化しすぎている、ある地域では過疎化が進みすぎていることが原因かもしれない。

2つ目は、東南アジアのスタートアップは先述した中国やインドのスタートアップに比べて、グローバルレベルでの露出が少ないことが考えられる。これは投資家に見落とされる恐れがある。これはRedmartのようなケースだ。

東南アジアをの農業という分野を攻めるということに関して、地元の起業家が興味を持っていなかったりポテンシャルがなかったりするわけではない。むしろその逆である。コンテストで観客を沸かせているインドネシアのような国のスタートアップがあれば、その多くはAgTechのビジネスだ。

もう一つのインドネシアで魅力的なAgTech企業は、エビや魚のスマート養殖システムのeFisheryだ。インターナショナルピッチイベントGet in the Ring pitch competition in 2014で優勝を収めている。また今月には金額は非公開だがシリーズAの資金調達をVCから行っている。インドネシアのスタートアップiGrowは昨年、Tech in Asia Jakarta’s Arena pitch battleで優勝を果たした。iGrowはモニタリングを使った農地管理システムを提供している。

そのほかにも精密農業ビジネスのCi-Agriculture(インドネシア)や、マッピングやトラッキング、モニタリングのテクノロジー企業Terralogiq(インドネシア)、農業ドローンのGaruda Robotics(シンガポール)といったAgTechベンチャーが東南アジアでは注目されている。

eFisheryが最近VCからの資金調達に成功したのは、AgTechが東南アジアの潮流を変化させていることを意味する。VCは莫大な人口と農業関連産業を持つ中国やインドの方に、興味が沸くだろう。しかし漁業と水産業では、世界のトップ18の生産量を誇る国のうち5カ国が東南アジアであることを考えるといかがだろうか。

この事実はステークホルダーにとっては東南アジアへの興味を高めるはずだ。多くの未開拓のチャンスが東南アジアには眠っているようだ。

 

参考:https://www.techinasia.com/agriculture-tech-big-opportunity-southeast-asia

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