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ボッシュ:AI農業分野で日本参入〜第一弾はトマト病害予測センサー〜

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※画像引用:

http://m.bosch.co.jp/corporate/ja/jp/our_company_6/business_sectors_and_divisions_6/plantect/plantect_startpage.html

ドイツを本拠地とする自動車部品と電動工具のメーカーであるボッシュ株式会社が、2017年6月8日、ハウス栽培トマト向け病害予測システム「Plantect ™ (プランテクト)」を2017年内に販売開始することを発表した。

AIを用いた病害予測の精度92%

「Plantect ™ (プランテクト)」には2種類の利用方法がある。
1つ目が、基本プランである「ハウス環境のモニタリング機能」だ。利用者は、ハウス内に温度湿度センサー、CO2センサー、日射センサーを設置し、そのデータをスマホやPCでリアルタイムに閲覧することができる。但し、この機能自体は、既に日本のハウス栽培向けソリューションでは類似するサービスも見受けられる機能である。
2つ目が、オプション機能である「病害予測機能」である。独自のアルゴリズムにより葉濡れなど病害発生に関わる要素が解析され、気象予報と連動し、植物病の感染リスクの通知をアプリ上に表示させるという。過去データによると92%と極めて高い精度での予測精度を記録している。まずは「トマト」からサービスをスタートさせ、今後「いちご」「きゅうり」「花卉」へと横展開していく予定だ。

LoRaを用いた低コスト通信

今回の製品では、通信方式に省電力などの特性を考慮し、長距離無線通信(LoRa)を採用している。LoRaは、長距離かつ通信量の少ない分野に強みを持つことから、農業IoTの分野でも注目を集めている。例えば、同じハウス内モニタリングの分野では、株式会社NTTドコモと共同で39Meister事業を運営する株式会社ハタプロが、農業IoTサービス「みどりクラウド」を行う株式会社セラクや長崎県南島原市が共同で、農地におけるLoRaの実験を開始している。また、畜産の分野でも、牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を提供する株式会社ファームノートが「LoRaWAN」を利用した放牧牛の行動解析実験を開始している。

この技術によりセンサーが遠距離に数多くある場合でも通信料が安く抑えることができる。「Plantect ™ (プランテクト)」の基本プランは月額4,980円となっており、その料金のなかに「3つのセンサーと通信機」「サービス利用料金」「通信費用」「クラウド利用料金」をすべて含んでいる。

ボッシュのAI戦略・農業ロボット

ボッシュ社は、欧州において農業を領域としたAI戦略を着々と進めている。例えば、100%子会社であるRobert Bosch Start-up GmbH社が支援するスタートアップであるDeepfield Robotics社は、車載センサーを応用した自動雑草除去ロボット「Bonirob(ボニロブ)」や農作物を4D(3D+時間軸)で計測するロボット「Deepfield 4D Scan」を開発している。
このようにボッシュ社のAI戦略は多岐に渡り、中でも農業分野に注力していることが伺える。ボッシュ社といえば、電動インパクトドライバーや電動のこぎりなどの製品を販売する企業であり、企業名は日本の農村でも知名度が高い。今後の日本の農業界におけるAI戦略の動向に注目したい。

<Bonirob>

<Deepfield 4D Scan>

 

〔画像出所・本文参考〕

http://www.bosch.co.jp/press/rbjp-1706-05/

http://www.bosch.co.jp/corporate/ja/jp/our_company_6/business_sectors_and_divisions_6/plantect/plantect_startpage.html

http://www.bosch-startup.com/en/robert-bosch-start-up-gmbh/

https://www.deepfield-robotics.com/en/Automated-Field-Testing.html

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