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オランダ:火星・月の土壌における栽培実験、その研究結果とは

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農業分野の研究で世界屈指の実績を誇るオランダのワーゲニンゲン大学では、火星や月を模倣した土壌(擬似土壌)での作物生育を研究している。この擬似土壌は実際の火星や月の土壌と同程度の重金属を含んでいる。これまでに4種類の擬似土壌下で作物の生育が試験され、これらの作物から人の健康に有害となる量の重金属は検出されなかった。4種類の作物は安全に食べることができ、一部の重金属においては、一般的な培養土よりも検出された重金属の量は少なかった。

科学者らは先行研究で、有機物が投与されれば擬似土壌においても作物は良好に生育することを示していた。カドミウムや銅などの重金属が、火星や月の土壌には含まれていると知られている。それら重金属が作物に取り込まれると、人間は食べることができない。

現在彼らは研究資金不足の問題に直面しており、十分な研究が行えていないのが現状だという。現在クラウドファンディングで資金を集めているとのことだ。

作物の重金属含有量の謎

ダイコンが最も重金属含量が高く、特にアルミニウム、ニッケル、鉄の含有量が高かったという。これらの重金属の混入が外から(土壌から)なのか、作物の内部の問題なのかははっきりとしていない。通常の培養土で栽培したダイコンが擬似土壌で栽培したものよりも、ヒ素や銅の含有量が高いというのは妙な現象である。火星や月のように地球よりも重力が低い状況でも、地球と同じように重金属が吸収されるかどうかは明らかになってはいない。

研究資金をクラウドファンディングで集める

10ある作物のうち4つの作物だけがこれまでに試験されてきた。クラウドファンディングがうまくいけば、研究者はすべての作物について重金属に関する研究を実施する予定だ。また研究者らは重金属だけに着目しているわけではない。ビタミンや、フラボノイド(味に寄与する物質)、アルカロイド(人体に影響を及ぼす物質)にも着目している。はじめに実験された作物であるサヤインゲン、ダイコン、ルッコラ、ホウレンソウはすでに収穫され、ジャガイモを含む残りの作物はすぐに実験が実施される予定である。研究者らは収穫した作物の重金属含量がオランダとアメリカの規制当局の基準値に達していないか分析する予定である。科学者たちは、擬似土壌で栽培したジャガイモ、エンドウ豆、ニンジン、コショウ、サヤインゲン、ダイコン、ライ麦、トマトが安全に食べれると確信できれば、研究資金提供者にこれらの野菜で作った食事を振る舞う予定だという。資金提供者は、火星トマトを始めて口にする人類となることができる。

参考:https://www.sciencedaily.com

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