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室内農業に関する3つの大きなチャレンジとは

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Editors Note: This article was originally published on AgFunderNews, the online publication of AgFunder an investment platform for food and agriculture technology.


先日ニューヨークで、Indoor Ag-Conと呼ばれる室内農業に関するイベントが行われた。このイベントは2013年からラスベガスで毎年開かれていて、ニューヨークでは初の開催となる。イベントでは室内農業について議論がなされた。

食品の安全性の向上や、食糧廃棄物の削減、水資源の汚染防止、より美味しく栄養価の高い食品生産など、室内農業が従来の屋外農業に勝るポイントは多い。イベントに参加した室内農業に関連するビジネスを展開する企業の中には、ここ最近大きな投資を受けた企業もある。

室内農法を確立した企業のひとつであるAeroFarms社は、ニュージャージーの鉄鋼工場の跡地を利用して80000平方フィートにわたる巨大な室内農場を建設するため、ゴールドマンサックスとプルデンシャルから5000万ドルの資金調達を行った。

温室農業技術を駆使して都心部のビルの屋上で農作物を栽培し、地元の食料品店に届けるビジネスをいち早く始めたGotham Greens社は、数年にわたって個人投資家から3000万ドルの資金を調達している。

南アフリカに20ヘクタールに及ぶ自動管理が可能な温室農業施設を建設したSundrop Farms社は、プライベートエクイティファンド大手のKKRから、昨年12月になんと1億ドルの資金を調達している。

Ag-Conの参加者は室内農業やソフトウェア開発のスタートアップから、照明のスペシャリスト、温室栽培生産者、大学教授にまでに及ぶ。彼らは皆、温室農業には3つのチャレンジ(課題)があると口をそろえる。その3つのチャレンジとはなんなのか。

 

温室農業に関する技術の多くはまだ初期段階

Gotham Greens社のCEO、ヴィラージ・ピューリ氏は、温室農業に用いられる技術はまだ商業的な実績がないと話す。一体どういうことなのか。

例としてLEDライトが挙げられる。LEDライトを使った栽培は、植物の貯蔵寿命にインパクトを与えるという研究結果があり、実際にGotahm Greens社でも使われている技術だという。しかし研究結果として良い結果が多く出ているものの、まだまだ成果としては未熟と言わざるを得ない。ピューリ氏は将来的にLEDライトは室内農業に有効な技術となると思っているものの、それまでにはまだ時間がかかるものと思っている。

LEDライトは別の問題も抱えている。エネルギー消費の問題だ。輸送や農薬などの化学物質も含め、室内農業は従来の屋外農業より温室効果ガスを多く排出しているという報告がある。そしてLEDライトがこの問題の大きな原因だという。こちらも従来のものよりエネルギー消費量を削減する研究がなされ、成果が出ているものの、まだまだ研究が必要だという。

 

投資の可能性

冒頭に3件の室内農業ビジネスに対する投資を紹介したが、これは室内農業関連ビジネスへの投資の全体像とは言えず、現実は異なる。

多くの農業関連の投資と同様、資金提供を見つけるのは難しく、そういったポートフォリオに投資をするのは投資家にとってはチャレンジングなことだ。冒頭に紹介したSundrop Farms社のCEO、フィリップ・サムウェバー氏は、「一部の投資家にとって、こういったビジネスへの投資はスタートアップへの投資というよりプロジェクトファイナンスに近いのではないか。」と話す。経営者はできる限りのリスク回避をし、投資家を納得させる必要があるという。

農業テクノロジー開発ビジネスを行うベンチャー企業も、一般的なテクノロジー系スタートアップにも資金調達には苦戦しているようだ。農家に分析結果をフィードバックするソフトウェアツールを提供するベンチャー企業のAgrilyst社がいい例だ。Agrilyst社は今夏、TechCrunch Disrupt in San Francisco(米メディアTechCrunchが開催する、ベンチャー向けのカンファレンス)で優勝した。CEOであるアリソン・コプフ氏は、優勝を目指していたのは賞金やビジネスの露出が増えるためではなく、投資家の前に立ち、話すことができるからだという。

資金調達が限られてしまうとなると、公共機関や大学での研究がスローダウンし、生産者が入手出来るデータや情報も限られてしまう。農業関連の投資の可能性の低さは、大きな課題なのだ。

 

経験者の採用

スタートアップの世界では、採用に困る事がないという企業は珍しいだろう。特に農業といったニッチなスタートアップではなおさらだ。室内農業といったまだまだ成熟していない産業では、関連する経験を持った人材を見つけるのが難しい。

イベントに集まった関連ビジネスの経営者らは、独自の雇用プロセスを論じた。Sundrop Farms社のサムウェバー氏は「データ・ドリブン」タイプの人を採用したいと話す。AeroFarms社CEO、デイヴィッド・ローゼンバーグ氏もデータサイエンスを用いた自社ビジネスを引き合いに出し、MIT出身のデータ分析を得意とする人材が社内にいると話した。

 

課題は多いものの期待高まる室内農業

今回イベントで話題となった室内農業の技術、投資環境、そして人材の3つは、どれも課題とはいえど、テクノロジーへの投資環境が日本より整っているアメリカではクリアするのも時間の問題ではないだろうか。投資家も徐々に新しい農業ビジネスの魅力に気付き、投資も今以上に活発になるにちがいない。大規模農業のイメージが強いアメリカだが、今後は巨大な室内農業が盛んな国としてのイメージが高まるのではないだろうか。

次回はシンガポールで“Indoor Ag-Con Asia”が来年1月に開催される。このイベントはアジア初のIndoor Ag-Con開催となる。アジアの農業イノベーションに興味がある方にとっては、目が離せないイベントになるだろう。

 

Link:http://agfundernews.com/3-big-challenges-for-indoor-agriculture4864.html/

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