インドネシア:花卉・果物農業を育成する政府の目論見とは
インドネシアでは、農業の大規模化、輸出拡大が進みつつある。バナナ、オレンジ、マンゴー、パパイヤ、パイナップルなどトロピカルフルーツを、主にアメリカやアラブ首長国連邦、シンガポール、中国、香港、スペイン、オランダに輸出する。2014年には果物の輸出額は2890万USドルだったのに対し、2015年には3700万USドルと30%増加した。
インドネシア農業省は、販売促進、プランテーションの復活、地元の消費の増加によって花卉・果物農業の価値を90億USドルに増やすことを目指している。
インドネシア政府が農業の大規模化と輸出増を目指す理由
インドネシア政府は2011年に「政府開発加速化・拡大マスタープラン(MP3EI)」を発表した。2011年の名目GDPはおよそ8930億USドルだ。インドネシアは2025年までにGDP4~4.5兆USドル、一人当たり所得1万4250~1万5500USドルを達成し、世界の先進国の一つとなることを目指す。MP3EIは8つの分野(農業、鉱山業、エネルギー、工業、水産業、観光、電気通信、戦略的地域の開発)に分けられている。
確かに1965年にGDPの半分を占めていた農業は、現在外国メーカー等の進出により工業に取って代わられてはいるが、インドネシア政府は国を挙げて花卉・果物の量と質を高め、輸出を増やそうとしている。そのために今後数年間にわたって40haの新しい大規模な果物農園をつくり、農家に生産性を上げる種子を提供する計画だ。
農業大臣のアムラン・スライマン氏は、もしこれが実施されれば、地元の農家たちは毎年約90億USドルの追加利益を得ることができると話している。また、インドネシアでは農産物の輸入量が多く、外国産との競争を勝ち抜くためにも、農業に力を入れて大規模化と輸出拡大を進める方針だ。
今年の11月17日から20日にはジャワ島西部のボゴールで花卉・果物国際フェスティバルが開かれる。このフェスティバルの準備委員会委員長を務めるボゴール農科大学学長のへリー・スハルディヤント氏は「果物栽培は、ドリアン、オレンジ、パパイヤ、パイナップルを含む12の果物に集中して大規模化すべきだ」と考えている。また、輸出増加へのファーストステップは、地元の果物と花の質を高めて世界水準に合わせることであり、「(このイベントで農家の)世界水準への意識は高められるに違いない。」と話す。スライマン農業大臣は、「ジョコ・ウィドド大統領はこのイベントがインドネシア史上最大となることを願っている」と述べた。
フェスティバルには国内から1万人、海外から500もの貿易、卸売り、食品メーカー等の企業関係者が集まる予定だ。
参考:
Master Plan Acceleration and Expansion of Indonesia Economic Development 2011-2025
Gross Domestic Product of Indonesia
http://www.thejakartapost.com/news/2016/05/10/govt-boost-fruit-industry-with-land-expansion.html